ビットコインの上昇は短命に終わる可能性、「FRBの利下げが頓挫」で
ビットコインの価格は、次期米大統領のトランプがビットコインの戦略備蓄計画の推進を確認したことを受けて12月16日のアジア時間で10万6000ドル台をつけ、史上最高値を更新した。 トランプは、週末のCNBCのインタビューで、「中国だけでなく他の国も暗号資産を受け入れている。そして、われわれは先頭に立つことを望んでいる」とした上で、石油の戦略備蓄のようなシステムをビットコインにも設ける計画があるかとの質問に、「そう思う」と答えていた。 しかし、そんな中、ロシアが米国に先んじてビットコインの戦略備蓄を開始する可能性があるとのリーク情報が報じられ、来年は米連邦準備制度理事会(FRB)にとっての「最大の悪夢」が現実になると警告されている。 世界の資本市場に関する業界トップクラスのコメントを提供する週刊ニュースレター、TKLの発行元であるThe Kobeissi Letterのアナリストは、16日に「2025年にはスタグフレーション(経済停滞とインフレの同時進行)が到来し、FRBにとって最大の悪夢となると予想される」とX(旧ツイッター)に投稿した。 このアナリストは、「来年は、インフレ率が再び上昇し、FRBが利下げを正当化できるようなソフトランディングは期待できない」という資産運用大手アポロの報告を引用して、そう主張した。 「FRBが来年、利上げを余儀なくされる可能性は高まっている」と、アポロのチーフエコノミストであるトーステン・スロークは報告書に記し、「FRBが緩和を急ぎすぎたことで2025年にインフレが再燃する懸念がある。1970年代に起こったことが再来するかもしれない」と警告した。 世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオは先週、迫り来る「債務危機」を警告し、これが米ドルの価値を急激に低下させるだろうと予想した。 米国の債務は、ここ数年で急増し、今年の初頭に34兆ドル(約5230兆円)を突破した。これは、新型コロナウイルスとロックダウン対策の景気刺激策が政府支出を膨張させ、2022年にインフレを制御不能な水準まで押し上げたためだった。 ■FRBの利下げに暗雲 先週のデータでインフレ率が再び上昇したことが示されたにも関わらず、FRBは今週にも0.25ポイントの利下げを実施すると広く予想されており、ブルームバーグのエコノミスト調査では2025年にさらに3回の利下げが行われるとのコンセンサスが示されている。