パクリと揶揄された「やっぱりステーキ」が急成長。大量閉店で打撃の「いきなり!ステーキ」と明暗分かれたワケ
新業態の展開でV字回復を目指す
再生を加速するための新たな業態も開発している。店舗の統廃合で縮小した中核ブランドであるいきなり!ステーキを補完するため、増えている孤食に対応した「ひとりすき焼き」がコンセプトの店舗を11月下旬にオープンする予定だ。最近は1人焼肉や1人鍋を提供する店も増えており、それらも追い風となるか。 メニューは和牛を中心に、ブランド牛などを使用した定食形式だという。すき焼きは牛肉料理の中でも豪華な定番メニューであり、お祝い事や何かのご褒美にとよく食べられる国民食の一つだ。そのすき焼きを、離れの茶室のように、落ち着きのある雰囲気の中で、カウンターを主体とした席で提供する。 牛肉、卵、米も国産にこだわり、自社で独自開発した割下を使用する。今、A5ランクの肉が値崩れを起こしているが、店員がお客さんの目の前で肉を焼き、カウンター席の一人ひとりに提供するサービスで顧客提供価値を高め、価格競争に埋没しない。急伸するインバウンド需要も吸引し、将来的には30店舗ほどの展開を目指すそうだ。
家族連れに人気の「ステーキファミレス店」
そういった厳しい環境の中で奮闘するステーキハンバーグをメインにする「ブロンコビリー」。コスパが高いステーキチェーンとして人気で、東海地方を中心に、全店直営の郊外型店舗で139店舗(2024年4月1日現在)を展開している。 直近の業績(2024年1月~9月)を前年と比較すると、 【ブロンコビリーの業績(2023年→2024年)】 売上:175億25百万円→199億52百万円 営業利益:11億90百万円→20億15百万円 営業利益率:6.8%→10.1% 原価率:34.9 %→32.6% 売上・利益とも前年を大きく上回っており、売上が13.8%増、利益が69.3%と順調に伸ばしている。物価高騰の中、なかなか値上げに踏み切れずに原価圧迫で苦しむ店が多い中、適切な価格政策と原価管理の徹底強化で原価率を2.3%抑制している。営業利益率は2桁台(10.1%)と大型店ながら極めて収益性は高い。財務の安定性においても、自己資本比率81.5%と盤石である(2023年度決算)。