パクリと揶揄された「やっぱりステーキ」が急成長。大量閉店で打撃の「いきなり!ステーキ」と明暗分かれたワケ
一世風靡したいきなり!ステーキの今
いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービスは、カリスマ創業者の一瀬邦夫氏が2013年12月に銀座を1号店として誕生した業態だ。高回転、高単価のビジネスモデルと立ち食いのスタイルで注目を浴び、店舗数を拡大。一時期は500店舗まで迫ったが、過剰な出店戦略によるカニバリゼーションで共食いをしてしまった。 急速に勢いが衰え、約320店舗の撤退を余儀なくされた。2022年8月に創業者の邦夫氏が退任し、息子の健作氏が社長に就任。2024年9月末日時点で、いきなり!ステーキ(国内 177、海外5店舗)、その他3店舗ある。 不振に苦しんだ状態を打破するため、顧客層に合致させた店舗リニューアルと新規出店、海外での認知度向上、市場におけるポジショニングの獲得、 成長モデルの確立、店舗網の拡大に取り組んでいる。現在は、立て直しに向け、攻めの投資に力点を置き、経営力の強化に努めている。2023年10月、東証スタンダード市場へ市場変更している。 いきなり!ステーキの損益状態と財務の安定度は以下の通りだ。 【いきなり!ステーキの損益状態(売上/営業利益/自己資本比率)】 2022年:148億円/▲16億円/20.2% 2023年:146億円/▲5億円/44.8%
会員ランク制度「肉マイレージ」にも変化
自己資本比率も改善するなど、どん底状態からは若干明るい兆しを見せているようだ。なお2024年度上半期は、売上69億8200万円、営業利益100万円である。直近の売上の推移は、 【いきなりステーキ 売上等推移(2024年7→9月)】 売上:91.3%→90.4%→95.5% 客数:83.8%→82.4%→85.9% 客単価:109.0%→109.7%→111.1% 客単価は上昇して前年の大幅赤字は解消されているが、店舗数と客数の大幅な減少から売上は前年を下回っている。第2四半期においては原材料や人件費などあらゆるコストの上昇対策として、グランドメニューの改定、DXの導入などを実施。現在は名物のオーダーカットを廃止するなど事業の再生に注力し、V字回復を目指している。 2024年9月からは公式アプリの会員ランク制度である「肉マイレージ」に、最上位ランク「ロイヤル・ダイヤモンド」を新設し、上位得意客の優遇に力を注ぎ、安定的な顧客基盤を再構築している。また、インドネシア現地法人との間で、フランチャイズ契約を締結し、海外展開も拡充するようだ。