保守対決軸に混戦模様 揺れる自民の牙城、衆院選和歌山2区
衆院選の公示が15日(投開票27日)に迫り、和歌山2区の構図が固まった。「保守分裂」で2陣営が激しくぶつかる中、自民王国の牙城を崩そうと野党、無所属議員が挑む形となりそうだ。 【激しい保守分裂選挙 次期衆院選の新和歌山2区の記事はこちら】 今回は選挙区が前回の3から一つ減って2となり、区割りが変更された。紀南を含む2区は、有田郡以南の旧3区に海南市など旧2区の一部が加わった。 選挙戦の軸となるのは保守対決。自民派閥の裏金事件で二階派立件の責任を取る形で、不出馬を表明した二階俊博自民元幹事長(和歌山3区)の後継として、三男の伸康氏(46)が立候補を表明している。そこに裏金事件で自民を離党した無所属の世耕弘成氏(61)が、参院(和歌山選挙区)からくら替えして挑む。 二階氏側は首長や党県連を挙げた総力戦。世耕氏は内閣官房副長官や経済産業相を務めた政治経験をアピールし、前哨戦から火花を散らす。世耕氏は裏金事件の当事者だが、伸康氏も二階氏の公設第一秘書だった。「政治とカネ」の問題を有権者がどう捉えるか。両者ともに「審判を仰ぐ」としている。 自民党と連立政権を組む公明党は和歌山2区、1区とも自主投票としている。 2区で「保守分裂」「政治とカネの問題」の受け皿を狙うのが元県議で共産新顔の楠本文郎氏(70)、元総務省職員で無所属新顔の本間奈々氏(55)、和歌山市議で立憲民主新顔の新古祐子氏(52)。諸派新顔の高橋秀彰氏(42)も参戦を表明した。 2区は旧3区に海南市や橋本市、有田市、海草郡、伊都郡が加わり、計27市町村にまたがる。1区は従来の和歌山市に、紀の川市と岩出市が加わる。選挙区の改定が選挙戦にどう影響を与えるかも注目されている。 ◇ 1区は、旧1区前職で維新の林佑美氏(43)、自民の山本大地氏(33)、立憲民主の村上賀厚氏(65)、共産の井本有一氏(58)、参政の林元将崇氏(26)の5人が立候補を予定している。 ■2区に6人目参戦 政治団体代表の高橋氏 政治団体代表、農業で新顔の高橋秀彰氏(42)=兵庫県丹波市=が10日、和歌山2区への立候補を表明した。千葉県松戸市出身で早稲田大学中退。ITベンチャー会社社長などを経て、現在は黒豆や麦類などを栽培している。昨年7月に政治団体「鼎立(ていりつ)の党」を立ち上げ、自然環境と共存する経済活動を訴えている。 高橋氏は記者会見で「生活を圧迫させている30年間の政治に異議を申し立てたい」と強調した。「裏金問題」などで政治への信用が揺らいでいるとし「自分が作ったルールを守れないような方々に信任を与えてよいのか。また、政治が停滞しているのは世襲が大きな根幹をなしている」と批判。選挙戦では食料自給率向上に向けた農業政策や自然環境を壊さないエネルギー政策などを訴えていくという。
紀伊民報