目指すは“グローバルOne調達” オリンパスが加速させるSCM組織の改革
オリンパスは2024年10月15日、同社が設置している「CMSO」(Chief Manufacturing and Supply Officer、最高製造責任者)に関する記者説明会を都内で開催した。同社におけるグローバルなサプライチェーン構築のための組織づくりや具体的な取り組みについて紹介した。 変革の原点になった課題感[クリックして拡大] 出所:オリンパス
地域単位ではなくグローバルで対応
CSMOはオリンパスにおける製造、調達、サプライチェーンマネジメント(SCM)、修理サービスの機能を統括し、各機能を1つのバリューチェーンの中で最適化させていく役割を担う。内視鏡事業(ESD)と治療機器事業(TSD)、修理サービス事業におけるオペレーション改革なども行う。地域単位ではなく機能単位での組織体制構築を目指すことで、グローバルな対応力を持った活動を目指す。 2022年に就任したオリンパス チーフ・マニュファクチャリング・アンド・サプライ・オフィサー 最高製造供給責任者の小林哲男氏は、「医療規制や環境規制が厳しくなる中で、地域ごとに個別に対処するやり方は非効率だと認識した。また、企業運営が子会社、地域単位でなされることが多かったため、グローバルで共通化されたシステム導入が難しい。デジタル化が遅れる一因となっていた」と振り返る。 そうした状況認識の中で、特に小林氏が優先的に取り組むべきだと感じた課題感が2つあった。1つはオリンパスが掲げる「真のメドテック」に成長するための体制作りだ。「医療規制への対応や、外部の知見の活用、他のグローバルメドテックのベンチマーク評価などの取り組みが少し弱かった。自然災害などによるサプライチェーンリスクへの備えについても、本当に十分かを確認する必要があった」(小林哲男氏) もう1つが「成功体験からくるおごり」(小林哲男氏)だ。オリンパスは消化器内視鏡などの製品で高い市場シェアを達成してきた。しかし、そうした「成功体験」があるがゆえに、医療規制や環境規制など外部要因が厳しさを増すなかでも、社内に危機感が醸成されづらく、対策のスピード感を欠く要因となっていた。