「医師」の「ベストセラー作家」が、「やりたいことが見つからない」と悩む人へ送った”意外なアドバイス”…!
失敗を失敗と思わない
これは決してネガティブなものではなく、レジリエンスと言うべきものである。レジリエンスとは、立ち直る力のことだ。たとえ強風が吹いてもボキッと折れず、ぐわんとしなって風が止んだらまた元通り、という心を作ってくれる。 前に僕は成功も失敗もあった、と書いたけれど、僕は失敗とは思っていない。不成功だったけれど、僕はその結果をきちんとこの身に染み込ませたのだ。負けたことがある、その経験が僕の精神をしなやかでしつこいものにしてくれたのだ。 33歳で本を出そうと思った時、10社以上の出版社から無視をされた。 たまたま「私の弟が中山さんと同じ高校出身なんです」という編集者さんに、「まず一冊分書いてください。出版は約束できませんけど」と言われ、1年かけて書いた。それを読んでもらえたが、さらに半年以上待った結果、ボツ、つまり出版はできませんという結果だった。 たぶん、100人いたら99人が止やめていたと思う。それでも僕は諦めなかった。その5年後、小説を書きたいと思った。今度は編集者さんが見てくれる確約をくれたが、書いても書いてもボツになった。その人(幻冬舎の小木田順子さん)から来たメールはこうだ。 「話がつまらない。キャラクターに魅力がない。何が言いたい小説なのかがわからない。文学的表現ごっこをしているようだ」 これをもらって書き続けられるメンタルの持ち主はいない。僕も1ヶ月は落ち込んだ。しかし、立ち直ってまた挑戦し、再びゼロから書き上げた小説はさらにボツになった。ショックでまた1ヶ月落ち込んだ僕は、再び立ち上がるともう一冊書いた。 これが出版のハードルを超え、世に出てテレビドラマ化され、シリーズ化して今では55万部を突破する大ベストセラーになったのだ。 新しい勉強に挑戦する、新しい仕事に挑戦する、新しい土地に移り住むことに挑戦する……。こういう挑戦のための力が蓄えられるのは、「意味のないことを一生懸命やること」をやったからである。