株主優待の新設や拡充発表が増加も…投資初心者がはまる〝落とし穴〟 株価が下がり優待以上の損失や倒産するケースも
【兜町地獄耳】 会社側もNISA口座で長期保有の個人株主を増やしたい思惑 証券ライター 最近、株主優待の新設や拡充を発表する企業が増えていないか? 大手通信社記者 今年は特に目立つね。会社側もNISA(少額投資非課税制度)口座で長期保有してくれる個人株主を増やしたいんだろうね。 ライター ただ、調べてみると、株主優待を新設する会社の中には、業績がひどい会社も含まれている。株主優待につられて、投資初心者が買わないといいんだけど……。中には無配の会社が株主優待を新設するケースもある。投資家としては、優待よりも配当を優先してほしいよ。 記者 そういえば、1月に某企業が、女性に人気の有名洋菓子店の株主優待を発表したことがあった。これを受けて、買いが殺到し、1週間で株価は2倍高となった。この会社も無配だったよ。 ライター 1週間で株価2倍は強烈だな。その会社の株価は、その後、どうなったんだ? 記者 その時につけた高値から2分の1くらいになっている。ただ、当時と比べて全体相場も上がっているから、同社の株価も優待発表前の水準は上回っているけど……。 ライター 魅力的な株主優待をもらって、株価も上昇してくれれば言うことなしなんだけど、株価が下がってしまえば、優待以上の損失が出ることもあるから、投資初心者はよく考えて株を買ってほしいね。 記者 その通りだ。中には、「継続前提に疑義注記」とか「継続前提に重要事象」とかがついている会社もある。これは企業の継続性に不透明さがあるということだ。 ライター 投資初心者であっても、決算短信などで会社の状況を把握することが重要だな。倒産してしまっても、誰も責任を取ってくれないから。 記者 一方で、8月には、突然、株主優待の廃止を発表して株価が急落した会社もあった。当時に比べて、株価は2分の1の水準だ。 ライター 株主優待目的とはいえ、長期保有で会社を応援していたわけだから、株主としてはショックだっただろうな。 記者 しかも、優待廃止の発表をした翌日は売りが殺到し、値幅制限いっぱいのストップ安売り気配となった。売りたくても売れない状態だった。