「親に愛されている子」より「虐待を受けている子」のほうが“親に好意的”なワケ【Xフォロワー1.5万人・心理カウンセラーが解説】
毒親というほどではないけれど、親との関係がしんどい。昔は好きだったのに、今は親がストレスになっている…。このような悩みや苦しみを抱える人は少なくありません。心理カウンセラー・寝子氏の著書『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、「今のしんどさ」を軽くするヒントを紹介します。
子どもは「生きるため」に親を好きになる
親も含めた「家族」というものは、子どもにとっては絶対的な存在であり、未熟さと強固なつながりとを併せ持つ特殊な組織です。その中で、子ども時代は自覚している以上に立場が弱く、生きるためには親からの助けが必要です。大げさではなく、親は子どもの命を握り、生活を牛耳っています。 私たちは頭で意識している以上に、生きものとして生き残りに敏感にできています。 そのうえで、人間はほかの生きものと違って、食べ物や住居といった物理的なものだけ揃えば生きていけるわけではありません。私たち人間は、「人と温かい関係性を結ぶ」という情緒的なつながりが、健全に生きるために必要不可欠であると指摘されています。 そのことを、大人よりも無意識に察知しているのは、子どもなのだと思います。 親と情緒的な絆を結ぶことは、子どもにとって命に関わる大問題です。そのため、客観的に見たら酷い親であったとしても、子どもはある程度の年齢になるまでは親を好きになり、認められようとがんばります。そうすることが“安全”につながり、日々を生き抜く力になるからです。
親がしんどい…は「自分自身で人生を決められる段階」に来た証
親にしっかり愛されている子どもに比べて、虐待されていたり、親に安心できず愛されていると感じられなかったりする子どものほうが、より親に好意を持ち、親と良い関係を結ぼうと努力する傾向があります。そうすることでその家庭に適応しようとする子どもの能力なのでしょう。 つまり、子どものころは親への批判的な思いを抱く自由すらなかったのかもしれないのです。 そのため、親に対してネガティブな感情を抱くようになったなら、「やっとそう思える段階にたどり着けた」と捉えられることがほとんどです。 「昔は好きだったのに、今は親がストレスになっている」としたら、親の助けが必要な時期は、彼らとできる限り友好的な関係性を結ぶように尽力していたのでしょう。そうして今、親から離れても生きていけるようになったら、親の未熟さを認識するようになり、自分に合った生活を選ぶことができている証だと言えます。
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