松井一郎・大阪府知事に聞く(全文3完)50年後、大阪は副首都ポジションに
広域のイメージは関西広域連合の「関西圏」
── 先ほど、神戸や京都と路線がつながっていく話もありました。東京圏というと、首都東京の周りの県も当然入ってきます。大阪圏として広域で捉えると、どうですか。 これは、関西圏ですよね。今大坂においては、大阪を中心に、関西広域連合という府県が集まって会議する会があります。その関西広域連合に参加している府県が、関西という一つのエリアとなるのかなと、捉えています。 ── 人口が減っていって、大きなエリアで考える。広域はとても大事になってくるのでしょうか。 これは非常に重要だと思います。今はもうSNS、IT技術の発展で、さまざまな情報が瞬時に地球上で行き来する、そういう時代ですので。広域というエリアは、今までは都道府県単位が広域。でももう今の時代は、よくいわれる道州制の話になりますが、首都圏であれば首都圏域が広域で、関西であれば関西圏が広域という、そういう位置付けになってくると、こういうふうに思っています。 だから先ほど言いましたけれども、関空から京都、兵庫に鉄道一つでつながっていく。東京はできているんです、これが。千葉、埼玉から東京へ入り、神奈川へ行く。それが一つのラインでつながっている。 でも、大阪の場合はどこも途切れ途切れで、終点で乗り換え、終点で乗り換え。これが都市の成長ということになると、やっぱり不便さを利用者は感じるわけですから、これから関西のエリアの中で、鉄道だろうが高速道路だろうが、一つにつなげていくというのが非常に重要なのかなと思っています。
制度つくり替えは非常に難しい「結局は政治家の覚悟」
── そうすると、広域、道州制について、もう少し具体化するというか、制度が動き出す方向で、知事たちの間でも、徐々に真剣に考えられている感じですか。 僕はやるべきだと思っていますけど。役所の制度、大阪では今、「大阪都構想」という形で、先ほど申し上げた大阪府と大阪市の二重行政を解消して、大阪府域内の広域を一元化するための制度の変更。要は、東京都のように、大阪市を特別区につくり替えるということをやっていますけれど、これもなかなか、非常に難しい。難しいというか、非常にハードルが、乗り越えるハードルが高い、壁が厚い状況です。 これは何かというと結局、制度を変えると政治家の身分も変わるわけです。道州制はもう何度も、国政選挙において、どの政党も道州制を推進するという公約を掲げていた。共産党以外はね。 でも、できないのはなぜか。例えば、道州になると、今の47都道府県が9つぐらい、6つから9つぐらいの州に再編されます。ということは、知事の数が47人から、6~9人にぐっと絞り込まれるというわけなんです。自分の身分を失うわけです。これはなかなか。やろうという人は、総論ではいるけど、各論では反対ばかりです。 国会議員もそういう形に変われば、国会議員の選挙区も変わるし、人数も減るでしょう。結局、最後は政治家の覚悟のところだと思います。