松井一郎・大阪府知事に聞く(全文3完)50年後、大阪は副首都ポジションに
次の世代にツケを回さないよう疲弊した制度を考えるべき
── 人口減少というのは一つのきっかけ。今まで続いてきた制度の疲弊は、見えてきています。 もう完全に。要は廃藩置県のままですから、日本は、明治の。江戸時代から明治に変わって廃藩置県になった、そのままの制度を今やっているわけです。ほぼ150年その制度を続けているわけです。まさに人口の話と一緒で、150年前の人口と今の人口、そして150年前の平均寿命も含め、人口構造。 だって150年前というと、ほぼ50歳が寿命でしょう。それが、いまや80歳を超えるようになった。もう少しすると多分、その倍100歳ぐらいまで生きるようになってくる。でも、役所の制度は150年前のまま。人口構造も変わってきた。さまざまな新しいテクノロジーも生まれてきた。でも制度は、日本はそのまま。これはやっぱり疲弊します。ただ、これを変えるには、すさまじいエネルギーが必要です。 ── でも、もう考えなければいけない時期に間違いなくきているということですね。 やはり、もうそろそろ考えないと。日本は資源のない国で、まさに国民の皆さんの税負担によって行政が運営されているわけですから。これが今や毎年の国の予算も、赤字国債を発行しないと組めない状況になっている。 いつかどこかでは、この今の赤字国債はやっぱり償却していく時代が来るわけですから。次の世代にツケを回すことなく、準備をして、日本を安定的に経営できるようにしていくというのは、やっぱりわれわれ政治家の役割なのかなと思います。 ── そのためにも、大阪は一極、東京に対抗する極にならなければいけないわけですね。 そうですね。日本を引っ張っていくもう一つのエンジンの役割をすべきだと思っています。東京はもちろん頑張ってもらいたいんです。でも、飛行機と同じで、エンジン一つでは、なかなかこれは厳しいところがあると思います。
50年後は日本の副首都・世界から認められる大都市
── 最後に、大阪府のビジョンの想定は2040年で、それよりもう少し先、2060年近くになりますが、50年後の大阪府のあるべき姿、知事が思い描いている、こういう大阪であってほしいというイメージを聞かせてください。 まさに、日本の副首都というか、世界から認められる大都市・大阪のポジションをつくりたいですね。 ── そのために、対策が必要な課題があるとしたら。 まさに今、僕らがやっている役所制度の変更です。大阪都構想です。東京都も1943年までは東京市、東京府だったんです。そのときは、東京においても、二重行政は大問題だと言われていたんです。昭和の初期です。東京市が力を持ち過ぎて、東京府といつも意見が合わない、ばらばら。 でも、戦時下において首都だったので、当時は内閣総理大臣が、広域は当時の東京府に一元化する、東京都と呼ぶということを、もうトップダウンで決められたわけです。 そこからなんです。当時でいうと、江戸となにわになるのかもしれませんけれど、都市としての可能性は、同じようにあったけれど、でもそこから現在に至るまで、東京都という制度の中で、東京は成長してきたんです。