コロナ禍からV字回復 石屋製菓の新戦略
今回のけいナビの特集は、北海道を代表する人気菓子「白い恋人」で知られる石屋製菓の経営戦略に迫る。コロナの影響で売り上げが急激に減ったが、2023年はコロナ前を上回る水準にまでV字回復した。その背景とは。 札幌・中央区の大通西4ビルの地下にある「22%マーケット」。駅前通地下歩行空間に面したこちらの店舗が、石屋製菓が運営していることはあまり知られていない。 売っているのは酒類やおつまみ、調味料などで全て他社の商品。売り場の横ではパンも販売しているが、いわゆる「ISHIYA」感は全くない。意図的にそのようにしているのだ。22パーセントというのは、日本全国に占める北海道の面積の割合に由来する。 ここは、自社商品ではなく北海道各地の商品を扱うアンテナショップとして開業した。オープンは2022年。石水創社長は「思うようにはいっていない」と明かすが、新たに展開したパン店は固定客もでき、そこには手応えを感じているとする。
そんな石屋製菓、実は東京や大阪で「ISHIYA G」というブランドの商品を展開しているのだが、ご存じだろうか。 「ISHIYA G」は、北海道内にある店に比べやや高級路線。客単価も3000円から4000円と少々高めで、ビジネス上の手土産や贈答用としての利用が多い。既に東京に2店舗、大阪に1店舗の計3店舗があり、札幌の一部直営店でも販売するようになった。 石屋製菓の売上高は、コロナの影響で激減した。しかし近年は、旅行需要の戻りを受け右肩上がりで回復。2023年はコロナ前の2019年を上回り192億円に上った。「ISHIYA G」のような新たな展開もひとつの要因だ。 もうひとつの要因が菓子の「ばら売り」戦略だ。東区のISHIYAアリオ札幌店では、白い恋人をはじめとした人気の商品を一つから買うことができる。 その背景には、日常の需要をつかむという狙いが。これまでは観光客による土産物としての購入が売り上げを支えてきたが、コロナ禍の経験を経てそことはまた別の販路を持つことが重要だと考えた。
2026年には3カ所目となる工場を札幌市内に開業予定。そこではグループのサザエ食品の商品や、現在は製造委託している一部の洋菓子も作れるようにする。石水社長は「ここ数年間は守りの経営だったが、今後数年間は攻め期間にしていきたい」と力を込めている。 (2024年12月7日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援どさんこ経済」より)