鹿児島県 群島各種協 転入出増へ「人口ビジョン」策定 成長戦略ビジョン評価検証報告も
奄美群島12市町村らで構成する各種協議会が3日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAで8会合があった。奄美大島総合戦略推進本部会議では、移住者などの転入・転出者らとその出生者の増加を年間で計196人を目指す「奄美大島人口ビジョン2025」を策定。奄美群島市町村長会では奄美群島成長戦略ビジョン2023年度及び19~23年度(後期計画)の基本計画・実施計画の「評価と検証」が報告され、今後の継続的な推進を確認した。 【奄美群島市町村長会】(会長・高岡秀規徳之島町長)奄美群島成長戦略ビジョンの「評価と検証」を事務局の奄美群島広域事務組合が報告した。最終年度となる23年度は410事業を実施し、四つの基本方策のうち「人材の確保・育成、教育」が最も多い37%を占めた。達成度評価は、達成(100%)を示すAAが132件、概ね達成(80%以上)を示すAが109件で全体の59%を占めた。 成果検証で提言を発表した同推進懇話会の原口泉座長は後期5年間の計画などを振り返り、「施策は一定の効果をもたらしてはいるものの依然としてさまざまな課題は残る」と総括。次期ビジョン2033を念頭に、青少年への質の高い教育、産業分野の人材確保・育成、魅力を生かした観光・情報通信業の振興、沖縄との連携などに継続して取り組むよう訴えた。 議題ではほか、奄美ドクターヘリや医療航空機を民間で運営するメッシュ・サポートの維持・支援への検討、子牛価格低迷などに伴う肉用牛繁殖農家の本土との格差是正に向けた国への要望などで、12市町村が協力を確認した。 【奄美群島観光物産協会理事会】(代表理事・安田壮平奄美市長)25年度負担金、特別会員入会の2議案を可決した。 新規入会は、キュービスト奄美(奄美市名瀬)、奄美イノベーション(同市笠利)、AmamiTours(同市名瀬)、古仁屋農産(瀬戸内町古仁屋)の4事業所。24年度事業では、今月8日に「あまみ島一番コンテスト」「ぐーんとマーケット」を喜界町で行うことなども報告された。 【奄美群島地域産業協会理事】(理事長・黒田康則本場奄美大島紬協同組合理事長)24年度収支予算書補正、25年度負担金の2議案を承認した。 上半期事業では、着付け体験実施や各種イベントでの紬商品提供、本場奄美大島紬原図コンテストへの委託料支出などを報告した。 【奄美大島総合戦略推進本部会議】(本部長・安田壮平奄美市長)19年以来5年ぶりとなる本部会議を開き、「奄美大島人口ビジョン2025」を策定した。年間の社会動態(転入と転出の差)の目標に、子育て層(25~49歳の男女)188人増。現在の年齢ごとの出生率を踏まえ、自然動態の出生者数目標を8人の増加とし、合計で年間196人の増加を目指す。 15年に策定し、19年に改定した「同ビジョン2020」では奄美大島の10年の総人口6万5762人の約8割を維持するとし、60年の将来目標人口を5万2600人と設定していた。しかし、国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)「日本の将来推計人口」(23年発表)などでは、60年には3万3209人になる見込みとなっており、目標と現状の大きな乖離(かいり)があるため、将来推計人口について設定の見直しを図った。見直しにより、60年の目標人口を4万265人(社人研推計人口比7056人増)とした。 【全国奄美会意見交換オンライン】(市町村会長・高岡秀規徳之島町長)奄美群島12市町村の首長や海外を含む全国の郷友会の会長ら8人がオンラインなどで出席し、意見を交わした。 意見交換では、「若い人の会員の参加が少ない」や「奄美会の存在を知らない人が多い」といった意見が多く、「ただ待っているだけでは増えない。積極的な勧誘を」や「1、2年は参加もあるが、3年目以降は進学や就職、転居などさまざまな要因から参加が減ってくる」といった意見があった。 また、「奄美出身者だけでなく、奄美を知ってもらうために、奄美ファンクラブなどを作り、地域の人も会員としている」や「物産展などの開催にあたっては、開催地の郷友会との情報共有により、合同で盛り上げた方がよい」などの提案も出た。 【大島郡町村議会議長会】各役員の補充選任2議案を承認した。補充の新役員は次の通り。(敬称略) 〈同会〉▽副会長 外山利章知名町議会議長▽監事 喜島孝行宇検村議会議長、米田信也喜界町議会議長 〈県町村議会議長会理事・県市町村総合事務組合議員〉外山利章知名町議会議長 【奄美群島広域事務組合】(管理者・安田壮平奄美市長)一般会計、TIDA基金特別会計、奄美パーク事業特別会計の24年度補正予算と教育長選任など5議案を原案可決した。 23年度一般会計決算は、歳入9896万4千円、歳出9499万7千円。23年度奄美TIDAネシア基金特別会計決算は、歳入3億359万6千円、歳出2億9046万8千円。23年度奄美パーク事業特別会計決算は、歳入1億7990万7千円、歳出1億6177万1千円とした。 一般会計及び特別会計を合わせた決算額の総計は、歳入5億8246万7千円、歳出5億4723万7千円で、形式収支は3523万円(実質収支同額)の黒字。実質収支から前年度実質収支を差し引いた単年度収支は、1228万3千円の黒字となった。 奄美パークについては、23年度の来園者数は11万4773人(前年度比921人減)、うち有料6万3681人(同2792人増)となった。 同組合教育委員会教育長に、向美芳氏(奄美市教育長)が任命された。 24年度一般会計補正予算(第1号)の専決処分の報告があった。歳入歳出それぞれ296万4千円を減額し、総額9273万7千円とした。 【奄美群島と尼崎市の交流について】奄美群島がルーツの市民約4万人を抱えるとされる兵庫県尼崎市のボートレース事業部、秘書課の市担当者3人が来島し、両者の交流深化を目的に12市町村首長らと意見を交わした。 尼崎市側からは、同市中学生が奄美群島を訪れる「体験交流」と、尼崎市にあるボートレース場を活用したさらなる「物産展の拡充」の取り組み案が提案された。体験交流については、龍郷町の教育民泊を始め群島各地区をローテーションで受け入れる案などが首長側から出され、物産展については家族らが集まるイベントの場となりつつあるボートレース場について説明があり、今後は担当者レベルでも話し合っていくことなどを確認した。