トランプ氏、息子らの暗号資産プロジェクトの発表イベントに登場
(ブルームバーグ): 米大統領選共和党候補のトランプ前大統領は16日、自身と息子らが推進する暗号資産(仮想通貨)プラットフォームの発表会とするオンラインイベントに主役として登場した。論争の的となっているニッチなデジタル資産部門に、注目が集まっている。
イベントは、X(旧ツイッター)上のライブストリーム配信形式で行われた。トランプ氏の息子ドナルド・ジュニア氏は、推進している分散型金融(Defi、ディーファイ)プロジェクト「ワールド・リバティー・ファイナンシャル」が業界の仲間入りをし、金融の安全性と自由な取引を可能にしていくと強調した。
米国を暗号通貨の主要ハブとする目標について、トランプ氏は「もし私たちがそれをやらなければ、中国がやるだろう。やらなければ、私たちは最大にはなれない。米国は最大かつ最良でなければならない」と強調した
イベントは、トランプ氏が2度目の暗殺未遂事件から無傷で生還した翌日だった。
以前はビットコインを「詐欺」と非難していたトランプ氏は、大統領の座を巡る激しい選挙戦の中で対応を180度転換。寄付と票を求めて暗号資産業界に接近している。米国を「地球上の暗号通貨の中心地」にすると約束するほどだ。
トランプ氏の息子のエリック氏とドナルド・ジュニア氏はここ数週間、Xと通信アプリ「テレグラム」で、「ワールド・リバティー・ファイナンシャル」の宣伝を始めた。Defiとは、ソフトウエア駆動型のアプリを使用することで、銀行やブローカーなどを介さずに金融サービスを利用できる暗号資産のサブセクターだ。
2時間以上行われたイベントでは、同プロジェクトに関する具体的な詳細や、サービス開始時期についてはあまり触れられなかった。このプロジェクトでは、WLFIというデジタルトークンを発行し、それが事業の運営に一役買うことになるとの説明があった。
トランプ氏の知名度により、Defiへの関心も高まる可能性がある。Defiの支持者は、銀行などの従来の仲介者を排除することで効率性が向上するとよく主張する。一方、反対派は、この分野は規制のグレーゾーンにあり、暗号資産全体の問題でもあるが、ハッキングを受けやすいとしている。