伊藤健太郎、俳優デビュー10周年で見据える未来「実力や芝居力とともに、人間力をつけていかなければ」
◆10周年の感謝と誓いの言葉「自分の足だけでは、ここまでやってくることはできなかった」
伊藤が2014年のドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』で俳優デビューをしてから、今年でちょうど10年が経った。俳優業の転機になった作品として挙げたのは、「曲がったやつには絶対負けない」が信条の正義感の塊で、ツンツン頭のツッパリである伊藤役を演じた『今日から俺は!!』だ。 伊藤は「自分という存在を、たくさんの方に知っていただける機会となった作品。そこから仕事が増えたり、台本に載る番手が上がったりと、『今日から俺は!!』に出させていただいたことは、僕にとってものすごく大きな出来事でした」と切り出し、「“伊藤”という名前の役を演じたんですが、僕は本名も“伊藤”なんですね。街で子どもたちから『伊藤!』と声をかけてもらえることが増えて、すごく面白かったですね。子どもたちから観るとどうしたって作品の中の“伊藤”なので、僕も“伊藤”のスイッチを入れて子どもたちと接したりして」と笑顔。「子どもの頃に『今日から俺は!!』を観てファンになってくれた方が、中学生や高校生になって『静かなるドン』を観ましたと言ってくれることもあって。『この作品を楽しみに毎日頑張っています』という言葉をいただけたりすると、本当にいい仕事をさせてもらっているな、やっていてよかったなと改めて感じます」とファンからの言葉も、彼にとって大きな原動力になっている。 そして阪本順治監督が伊藤をイメージして当て書きしたという意欲作『冬薔薇(ふゆそうび)』(2022)も、「僕にとって大きな出会い」だと力を込める。彼が2年ぶりの映画出演にして主演を務めた映画で、「あのタイミングで『一緒に仕事をしよう』と言ってくださった阪本監督には、頭が上がりません。現場では、スーパー大御所の方々とご一緒させていただきました。石橋蓮司さんに『どれくらいこのお仕事をやられているんですか?』と聞いたら、『もう70年以上やっている』と。すごいですよね! そういった方々と一緒にお仕事できる環境を作ってくれた阪本監督に感謝ですし、皆さんが本当に温かく迎え入れてくださって、いろいろなお話をしてくださった。そこで得られたものは、たくさんあります。僕にとって大事な作品になりました」と心を込める。 10年の道のりを振り返ると、「自分の足だけでは、とてもここまでやってくることはできませんでした。周りの方々に助けてもらいながら、なんとか押し上げてもらったことで進んでこられた10年です」と周囲の支えを噛み締めた伊藤。「ここからは自分の力で進んでいかなければいけない部分も出てくるし、誤魔化しもきかない。実力や芝居力とともに、人間力をつけていかなければいけないなと思っています」とまっすぐな瞳を見せ、「とにかく現場が大好きなので。蓮司さんのように何十年経っても現場に立っていられることが、自分にとっての夢です」と告白。「『静かなるドン』もここで終わりたくない。個人的にはできる限りはやっていきたいなと思っています」と愛情を傾けていた。(取材・文:成田おり枝 写真:松林満美) 映画『静かなるドン2』は、9月13日より前編、9月27日より後編が全国順次公開。