高橋大輔が振り返る初の「氷艶」ラブシーン「今の自分だから表現できること」
2017年に第1作、2019年に第2作が上演となり、主演の高橋大輔さんのスケート人生に大きな影響を与え続けている「氷艶」。5年ぶりに帰ってくるその舞台が、6月8日~11日でいよいよ上演される。 【写真】ラブシーンもあった初の本読みでの高橋大輔さん 過去の公演の思い出と共に、『氷艶 hyoen 2024 -十字星のキセキ-』にのぞむ心境その他を、過去2回の作品を観覧している田中亜紀子さんがインタビューをした記事を再編集でお届けする後編。 前編では、「氷艶」という存在がなぜ人生のターニングポイントとなったのかを詳しく伺った。後編では、自分の殻を破った経験と新作のことを掘り下げる。 (本記事は2024年4月5日に公開されたものを再編集の上お届けするものです)
ラブシーンの本読みでは耳まで真っ赤に
高橋大輔さんが光源氏を演じた2回目の氷艶、『氷艶 hyoen 2019 -月光かりの如く-』は、高橋さんがシングルの現役に復帰した翌年2019年に上演された。演出を手掛けたのは、2024年の6月8日から横浜アリーナで行われる最新作の演出原案を担当した宮本亞門氏だ。高橋さんは、そこで芝居に挑戦し、なんとラブシーンも歌も披露。稽古の密着番組の中、本読みのシーンで、ちょうど藤壺役の平原綾香さんとのラブシーンのセリフを読む場面が放送され、そのセリフを耳まで真っ赤にしながら読む高橋さんが映っていた。 「あの時は本当に恥ずかしかったです。芝居に対してまだきちんと準備ができていなかったし、急にできるものでもない。スケートは言葉を発しない演技なので、言葉で演技することに戸惑った。そのうえ表情の演技も求められる。声量の具合もわからず、こんなにも芝居とは難しいものかと実感しました。 しかも初めて歌もソロで披露することになり、そのことを知った時は、え? 僕が歌っていいの? と葛藤が強かったですね。主演としてやらなきゃいけないけど、やったことがない。時間のない中、やるしかないので練習しますが、この状況ではよくないこともわかる。芝居も歌も、恥ずかしさが抜けないし、できないから自信がもてないけど、思い切ってやらないといけないこともわかっている。その気持ちを切り替えていくのがすごく難しかったです」 そんな稽古合宿中、宮本亞門氏が全員を集めてカツをいれる一幕があったとか。 「どういう言葉だったか具体的には思い出せないのですが、亞門さんがみなにカツをいれるような話をしてくださって、はっとさせられました。合宿に入って1週間、まだまだ恥ずかしさが抜けなかった時でして。亞門さんはみんなの問題として、全員に向かって話をしていましたが、僕は自分のことを言われているような気になって、ものすごく心にしみました。僕自身変わらないといけないと思い、実際そこから変わっていった。亞門さんは本当にモチベーションをあげてくれるのが上手です。しめる時はしめてくれますし、なんというか、演技を見て、もっとちょうだいもっとちょうだいと求めてくれるので、僕も亞門さんのためにやらなくてはいけない気持ちにさせられ、自分の殻を破れたような気がします。 そうして亞門さんに導かれ、お客様も満足してくださり、公演も成功という結果も感じることができた。ついていけば、結果はついてくる。そう感じさせてもらえたことは、本当に素晴らしい体験でした」