我が子と一緒に考える「借金」の意外な経済効果 借金をすることは「いい事」か「悪い事」か
さて、今度は貸し手の立場になって考えてみましょう。誰かにお金を貸せば、その間は自分では使えません。貸し手はその不都合を我慢することになる。何かご褒美がなければ、現在の貸し手は「未来の貸し手」を納得させられないでしょう。 残念ながら現実にはタイムマシンは存在しないので、ここで金利の出番となるわけです。金利という手間賃を払えば、あなたは「未来のアナタ」を頼ることができる。余裕がある貸し手は、遊んでいるお金を有効活用して、ちょっとご褒美がもらえる。
■「かりる」と「ふやす」は表裏一体 こんな形で「かりる」と「ふやす」は表裏一体の関係でつながっています。その本質は、違う時点をつなぐタイムマシンのような役割です。銀行などが仲立ちすることでお金の足りない誰かと、お金が余っている誰かが円滑につながり、世の中全体のお金の過不足がならされて、経済の流れがスムーズになる。 最初にお話しした通り、借金をする・お金を貸す、という行為は「できるだけやらないほうがいい」という価値観が根強くあります。特に借金することにはあまりいい印象は抱かないでしょう。
しかし、借金自体は悪ではありません。むしろ経済が円滑に回るためには欠かせない営みです。ある国がうまく成長できるかどうかは、金融システムの発達度合い、有体に言えば「借金のしやすさ」に大きく影響されます。借金は悪、と断じるのは間違いになることがあるのです。
高井 宏章 :経済コラムニスト