妹尾和夫 蟹江敬三さんとのドラマ共演で力んだ思い出
これほど力んだ芝居は初めてのこと?
「あの時に憧れを抱いた蟹江さんと芝居ができる」。撮影前のカメラテストから妹尾はうれしさと緊張感でいっぱい。蟹江さん演じる上司に調子よく話しかける部下役だが「蟹江さんと同じ空気を吸うだけで上がる」という状態。すでに俳優としてのキャリアは10年を超え、数多くのドラマに出ていたが、これほど力んだ芝居は「これが初めてだったかもしれない」と、妹尾はその時のことを恥ずかしそうに語る。 ドラマの撮影は無事に終了し、後に行われた打ち上げの席。妹尾は蟹江さんが1人になったところに駆けつけ「おつかれさまでした」と話しかけると、蟹江さんは再び「おぉー、(あの芝居を)観たんだー」と笑顔で答えてくれた。 その後も「あれを観た人は本当に数少ないんだよ」とずっと語ってくれた蟹江さん。後に、国生さんが「2軒目に行きたいけど、大阪だから、いいお店知ってるでしょ」と話しかけてくるまで、妹尾は夢見ごこちの気分に浸っていたという。 蟹江さんは2014年3月に死去。もう再び共演はできない。妹尾は、その時の夢のようなひと時の思い出を、今でも大切に胸に抱いている。 ■妹尾和夫(せのお・かずお)1951年11月17日大阪市大正区生まれ。20代半ばから大阪を拠点にドラマ「部長刑事」「必殺シリーズ」「暴れん坊将軍」に悪役で多数出演。現在はテレビ「せのぶら本舗」、ラジオ「とことん全力投球!!妹尾和夫です」(いずれもABC朝日放送)、「妹尾和夫のパラダイスKyoto」(KBS京都ラジオ)で活躍中。