乃木坂46 梅澤美波、キャプテン像を確立してきた2年間 海外公演で見つめた原点、6期生への思いも明かす
菅原咲月の副キャプテン就任「二人三脚で頑張っていきたい」
キャプテンとして実感した“気持ちを伝える大切さ” ──梅澤さん個人としては、この2年間を振り返ってみていかがですか。副キャプテン時代以上に、普段からグループのことを考える時間が増えたのかなと思います。 梅澤:2年前のキャプテン就任時の映像を観返すと、今とは別人みたいに弱々しくて「もっとしっかりしろ!」と思ってしまうんですよ(笑)。今では何がそんなに怖かったんだろうって思うんですけど、当時は「乃木坂46のキャプテン」という巨大な看板を背負うことがあまりにも重荷すぎて、そこに対する感情が露わになってしまったんです。でも、今は「私がしっかりしないと乃木坂46は終わるぞ」ぐらいのことを自分に向かって言ってやらなきゃって思えるぐらいにまで変われました。あと、副キャプテン時代はみんなの士気を高める言葉を発する役割を、全部キャプテンの(秋元)真夏さんに任せきりだったので、私がキャプテンに就任したばかりの頃は爆発力が圧倒的に足りていなくて。そこもこの2年でわりとうまくできるようになってきたと思います。ライブ前に円陣の声をかけるときもテンションを何段階か上げなきゃなとか。それこそ、夏のツアーでも私は初日がちょっとうまくいかなかったと思ったので、2日目には「私はうまくいかなくて悔しかった」という気持ちをみんなに正直に伝えたりとかして。自分の気持ちとか感情とか、ありのまま伝えたほうがみんなの心にちゃんと届くことがわかったので、今ではいいことも悪いことも包み隠さずオープンに話すことで、みんなが共鳴してくれたり助けてくれたりするようになった。そこでもキャプテンとしての在り方が少しずつわかってきたし、周りのメンバーがそうさせてくれているっていう感覚もあります。 ──梅澤さん、しっかり「乃木坂46のキャプテン」としての伝統を受け継いでいますね。 梅澤:本当にそう思います。過去のキャプテンも周りからちょっとポンコツだとか言われたり(笑)、だからこそみんなが協力して“一緒に頑張る”みたいな形があったと思うんですけど、私もその道をしっかり辿っているなと思って。うちのグループってみんな控えめに見えるしすごく謙虚な子が多いんですけど、実は内心めっちゃ熱くたぎっている子ばかりなので、その思いを私が代表して伝えることが多いからこそ、ちゃんと背負わなきゃいけないっていう責任もある。だから後輩たちが「梅澤さんひとりにはさせません!」と言ってくれると、その言葉だけで私もどんな大変なことでも乗り越えられるんです。 ──以前、秋元さんとお話ししたときに、5期生が加入した最初の全国ツアーでうまくいかなかった公演があり、翌日に涙ながらにメンバーに喝を入れたとおっしゃったことが印象に残っていて。あとから5期生にもお話を聞いたら、「すごく心に響いた」と言っていたんですよ。 梅澤:やっぱり気持ちを伝えることって大事だと思います。4期生が入って間もなかった頃にも、4期生に泣きながら「もっとこうしなきゃいけない」と伝えたこともありましたし。やっぱり「すごく頑張ってきた先輩がここまで言うんだ」っていうあの感じって、言われたほうもかなり震い立たせられるので、そういう姿勢は本当に大事。私もそういう人になりたいです。 ──では、グループの外に出て個人として活動していく中で、以前との変化であったり改めて気づいたことって何かありますか? 梅澤:外に出ていってもグループの看板を背負ってる責任感は常に持っていて。外での自分の頑張りとか評価というよりは、この結果がグループにも響くっていう意識がずっとあります。でも、外に出ていろんな活動をすればするほど、私にはまだまだ足りないものばかりだなと実感させられることが多くて。乃木坂46に加入して9年目ですけど、グループを中心に見る時間が多かった分、外での個人活動に割く時間もそこまで多いわけではなかったから、今も一から学んでいる感覚です。昨年は久しぶりにテレビの連続ドラマ(『デスゲームで待ってる』/関西テレビ系)に出演させていただきましたが、すべてにおいて初めてぐらい新鮮に感じられたので、恥ずかしいという感情を捨ててやっていかなきゃという姿勢で臨みました。それくらい個人での仕事とどんな塩梅で向き合うかがコンプレックスでもあったので、2024年はここからまた少しずつ梅澤美波としての力もつけていかないとなって感じた1年でした。 ──グループのみならず、個人としてもそこまで背負い込んでしまうと相当疲れも溜まるんじゃないかと思いますが、ちゃんと解消できてますか? 梅澤:個人的にはできてるんじゃないかと思います(笑)。私の場合、その頑張りや苦労がひとつ形になったときに報われる感覚が強くて。やっぱり作品って皆様の元に届くまでに時間がかかるので、そこまでは本当に自分との戦いで。表に出て皆様からの言葉や評価を受け取って、「もっとこうしたほうが良かったんだな」とか「これは褒めてもらえて嬉しいな」とか「これはこれで正解だったんだな」とかすべての感情が昇華されていくので、どうしても長い時間が必要なんですよ。 ──よく乃木坂46の皆さんは「ファンの人たちがいるから頑張れる。活動の原動力は応援してくれる人の声や顔」とおっしゃいますが、ファンの皆さんからの声を受け取ってすべてが完結すると。 梅澤:綺麗事みたいに聞こえちゃうのはすごく嫌なんですけど、本当にそうなんですよ。特に私は、キャプテンって個人のプレイヤーというよりは司令塔みたいな難しい立場だなと、就任したときに思っていたんです。ある意味ではマネージメント側みたいな目線も持たないといけないのかなって。でも、私のファンの方たちはそういう私の戸惑いを感じ取ったのか、ありのままの私を受け止めてくれるんです。本当はアイドルとしてもっと可愛げのあるところも見たかっただろうし、ちょっと物足りなさを感じることもあったと思うんですけど、そんな私の内面を読み取って全肯定してくれる。そういう甘えられる皆さんがいるからこそ私はこのお仕事ができているわけですし、だからこそ感謝しなくちゃいけない大切な存在だと思うんです。 菅原咲月の副キャプテン就任「二人三脚で頑張っていきたい」 ──甘えるという点においては、最近は番組やステージ上を通じてメンバーから梅澤さんへの愛情が伝わる場面が増えていて。そこに関しても、以前以上に甘えられる存在になっているのではないでしょうか。 梅澤:確かに、そこもいい感じで砕けてきていて。最近では5期生もイジってくるようになりましたし(笑)、そこのバランスがすごくいい雰囲気になってきたなとも思います。それこそ菅原咲月が副キャプテンになってくれたのもあって、彼女がいい具合に架け橋になってくれるのかなとも思うので、ここからさらに関係性は深められるだろうし、どんどんいい形になっていくといいなって思います。 ──その菅原さんの副キャプテン就任ですが、今の彼女の立ち位置っていかがですか? 梅澤:私がキャプテンに就任してからは副キャプテンっていうポジションはなかったけど、助けてくれる人はいっぱいいて。そういう意味では、明確に役職がついたメンバーができたものの、まだそこまで大きく変わった感覚はないかもしれません。全体ライブとか一から作っていく大きな活動が今はないですし、そういう活動が始まると菅原の気持ちにも変化が出てくるだろうなとは思います。副キャプテンが5期生なので、3期生や4期生は「ついていくぞ」というよりも「自分たちが支えて未来を作っていくんだ」っていう感覚が強いんじゃないかな。そういう意味では、今までとはまた違った雰囲気をまとった副キャプテンになっていくだろうなと思っています。 ──納得の人選でしたし、同じように感じたファンの方も多かったんじゃないかなと。 梅澤:そう受け取ってもらえると嬉しいですね。これまでも副キャプテン的な立ち回りをしてくれることが多かったですし、私としては本当に心強い存在で。でも、副キャプテンって約13年の乃木坂46の歴史において私しか経験していないから、その難しさに関しても私しかわからないので、今はやりづらさもあるかもしれない。そこを解消する意味でも、これから二人三脚で頑張っていきたいです。 ──ここから6期生も合流してきますし、2025年はまた新たなスタートの1年になりそうですね。 梅澤:はい。新メンバーにはこの“乃木坂46イズム”をしっかり一から見てもらって、いろいろ感じて、自分の中に取り込んでいってほしいなと思います。新しく入ってくる子たちが乃木坂46のどういうところを見て好きになってくれたのか今はわからないけど、「乃木坂46はこうだ」みたいな形はしっかり伝えていって、将来的にはグループを引っ張っていってほしいなと思うので……もちろんそれは6期生だけでなく、改めて5期生にも先輩になる立場として感じてもらいたいなと思います。 ──毎年開催されている恒例のバースデーライブは、2025年は5月に開催。会場は乃木坂46としては初めての味の素スタジアムです。 梅澤:すごいですよね……今は「どうしよう?」って不安でいっぱいですし、だからこそ1月から4月までの活動がめちゃくちゃ大事になってくると思うんです。1月末には37枚目シングル(『歩道橋』)のアンダーライブが幕張(メッセ 幕張イベントホール)で3日間あるので、まずはそこを成功させてスタートダッシュを切りたいです。 ──日産スタジアムで行われたデビュー10周年のバースデーライブは先輩たちに連れていってもらったものでもありましたが、今回の味の素スタジアムは今のメンバーで掴んだという自信もあるのでは? 梅澤:やっぱり視野に入れていた会場だったので、決まったときは嬉しかったです。一度も立ったことがない会場ということもあって、こうして形として目に見えてくるとちゃんとステップアップできているんだっていう感覚もあるので、絶対にいいライブにしなきゃいけないですし、バースデーライブとしてちゃんと感謝の気持ちを伝えられる2日間にできるよう、しっかり作っていきたいです。 ──2025年の乃木坂46のモードやここから向かうべき道筋を示す、絶好の機会になりそうですね。 梅澤:はい、そこがめちゃくちゃ大事だと思います。だって、バスラが終わったらすぐ夏が来ますからね。まだ決まってはいませんが、例年だと夏はツアーがあるので、そこに向けて体力もつけないといけないし。もっと頑張らないといけませんね。 ──アイドルグループとしてさらに進化し続ける乃木坂46に、これからも期待しています。 梅澤:任せてください!
西廣智一