ジャクソン判事を待つ「米最高裁の保守化」と、それが加速する「分断社会」
承認公聴会でも「分断」が浮き彫りに
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もう2カ月近く、世界のニュースは ウクライナ危機 ばかりに占められている。ワシントンもその話題で持ち切りだ。その結果、スティーブン・ブライヤー(Stephen Breyer)最高裁判事の引退表明に伴い、ジョー・バイデン大統領が連邦最高裁の判事に指名したケタンジ・ブラウン・ジャクソン(Ketanji Brown Jackson)の承認公聴会が3月下旬に上院で行われ、議論を呼ぶ内容だったにもかかわらず、これまでの判事たちのような世間の注目を浴びることはなかった。 4月7日、連邦議会上院での採決は党派によってくっきり分かれたが、賛成多数(53対47)となり、ついにジャクソンの最高裁判事就任が決まった。ただ、最高裁判事9人のうち保守派6人に対してリベラル派が3人という構図が変わることはないだろう。リベラル派の前任者から、リベラル派の彼女に入れ替わるに過ぎない。しかしながら、彼女の指名や承認公聴会で(上院議会では候補者承認のため、投票が必要となる)浮き彫りになったのは、今日の連邦最高裁判所やアメリカ国内における思想、政治面での深刻な分断である。そして、こうした最高裁の分断こそが、国民の社会生活や政界に広範な影響を及ぼしていくといえるだろう。 ジャクソンが承認されたことは歴史的だ。連邦最高裁の設立以来233年で115人がつとめたなかで、女性として6人目、かつ黒人女性として初の最高裁判事となる。また、非白人の判事としては4人目だ。いまや国民の3分の1がアジア系か黒人、ヒスパニックという国ではあるのだが。
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ブルース・ストークス(Bruce Stokes)