なぜ「熊出没注意」看板を無視するのか…「山菜を採りに行く」人たちが明かした「切実な理由」
軽トラで作業する老夫婦の証言
以前の記事『「遺体はすでに硬直し、足は曲がったままで…」秋田でクマに襲われ死亡した男性の「第一発見者」が明かす「恐怖の現場」』で報じた、今年5月に佐藤宏さんがクマに襲われた発荷峠(秋田県)から熊取平(秋田県)、迷ヶ平(青森県)、四角岳(岩手県)十和田奥入瀬(青森県)の周辺では、至るところに「熊出没注意」や「入山禁止」と記載された看板が立てられている。それでも山に入る人はいる。 【写真】「熊出没注意」「入山禁止」看板だらけの「異様な光景」…! 彼らはどうして危険を冒して山に入るのか。旬のものを食べたい気持ちは理解するが、クマと遭遇した際に起こりうることなどをどのように考えているのか。前の記事『「熊出没注意」看板を無視して「山に入る」人たちの本音…「みんな旬の天然もの好きだろ」』につづき、山菜を採りに山へ行く「採り子」たちの本音に迫る。 観光地である十和田湖の湖畔にはホテルが立ち並び、最近では外国人観光客も足を伸ばし山々に囲まれた静かな湖を目指す。湖面にはアヒルボートが可愛らしく並んでいる。 観光エリアを離れると、湖の周辺には未舗装の林道が傾斜も厳しく細く長く伸び、暗く深い山の中へ続いている。そんな林道沿いで、古い軽トラックの荷台に大きな袋を積み込んでいる老夫婦がいた。 声をかけると女性は挨拶を返してくれるが、男性はこちらを見向きもせずに作業を続けている。取材の目的を話すとようやくこちらの目を見てくれた。聞くと、クマに襲われて亡くなった佐藤さんの知人だという。
高級な籠や漢方薬になる
「これは山葡萄の蔓です(筆者注:この時は今年6月)。ここから1時間くらい歩いてブナ林で採ります。下草刈りをしたところにまとまって捨てられています。外皮を剥いたり乾燥させるなど加工が必要ですが、高級な籠にするための材料です。 今の時期は、漢方薬になる朴の木もやります。朴の木は鉈を使って皮を剥いて目方で買ってもらう。キロあたり80円から100円。皮は厚いから条件さえ良ければ半日で100キロはいくこともある。期間は5月から7月までの2ヵ月間。今の時期は水分吸って皮を剥ぎやすいのです。ただし目方があるから車まで運んでくるのが体力的にきついです。 それ以外にも蕨など山菜もやりますし、フキにウドもやります。一番力を入れているのがキノコです。 私有林では天然の舞茸の生えている山の所有者に話をつけて年間契約で許可をもらっています。中には勝手に入る人もいるけれど、落ち着いていられないでしょう。私の性格には似合わない。 キノコ類は舞茸の買取価格が高い。キロ3000円程度にはなります。シメジにキノコは、大雑把にいってキロ1000円。種類によって立木に生えているもの、倒木や切り株に生えているもの、日当りや湿度の関係など、さまざまです。
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