なぜ「熊出没注意」看板を無視するのか…「山菜を採りに行く」人たちが明かした「切実な理由」
病気になった息子の医療費を稼ぐために
「腰を痛めでしまったので、妻と二人で山に入ることが多い。一人ではもう無理。息子が病気になってしまって薬代に入院代だとか、いろいろと物入りなんです。だから頑張ってる。 息子より先には死ねません。どんなにダメな息子でも自分の子どもは特別です。我が家の収入は年金だけ。国民年金も若い頃に払ってなかったせいで、満額は出ない。 家は自分のものだけれど、他の収入がないと生活できないのです。生きるために仕方がない。私に売れるものがほかにあればいいのですが何もないんだ。でも(今年5月にクマに襲われ亡くなった)佐藤さんのことがあるので考えてしまいます」 佐藤さんのことをどう受け止めているのか。 「佐藤さんは山の玄人でした。クマの習性も熟知していました。その佐藤さんがやられるということは、誰がやられてもおかしくないと思います。あそこでは2年前にも一人やられています。その時に封鎖しておけばよかったのです。 今後、あの場所に入るのは無理だと思います。佐藤さんを襲った熊は警官2名を次々に襲っている。よほどのことがない限り、一人襲ったらその場から離れるはずなのです。抵抗したのでしょうか…」
「人間の味」を覚えてしまったクマ
「佐藤さんから教えてもらったのですが、奥入瀬渓流から近いキノコがよく採れる場所があります。そこには木出し道と言って、その昔に馬を使って切り出した木を運んだ細い道が迷路のようになっています。迷いやすく、携帯の電波も届かない場所。そこではこれまで分かっているだけでも20名ほどの人が行方不明になっています。クマも多いところです。 毎年のように遭難者が出ますが、それでも入る人が後を絶ちません。そこで亡くなった人、遺体が見つからなかった人はクマを含めた動物に喰われているのだと思います。人間の味を覚えたクマがどれだけいるかと考えるだけでも恐ろしいです。 なので、もうタケノコを採ることはないと思います。私たちがやられたらこの先、子どもがどうなるか。クマの数も増えていますし、性質も変わってきています。来年からはタケノコの時期は危険の少ないウドにしようと決めました」 深々とお辞儀をして夫婦は去っていった。 紹介した2組は、いずれも趣味やレジャーとして山に親しんでいる一般人ではない。もちろん山に入る全ての人が彼らのような境遇ではないだろう。中には「どこに入ってるか誰にも知らせない。クマに喰われたら諦める」と嘯く男性もいた。
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