桜の開花には「冬の寒さ」も必要 “桜の開花日”でわかる「景気の行方」【解説:エコノミスト・宅森昭吉氏】
開花日が早いか遅いかで景況感に大きな差
内閣府が毎月25日から月末に実施する『景気ウォッチャー調査』という調査がある。同調査の2023年3月調査結果にて「桜」とコメントしたウォッチャーの景況判断だけから、全体のDIと同様な計算で「桜」関連判断DIを作ると、現状判断DIは72.5、先行き判断DIは75.0と、どちらも50.0を大きく上回った。 この50.0というのは、景気判断の分岐点となる数値だ。判断DI が50を超えれば「景気は上向き」、下回れば「景気は下向き」、50なら「変わらない」と判断したことを意味する。開花日が早かった2023年では、「桜」が景況感に大きくプラスに働いたことがわかる。 一方、開花日が3月29日と遅かった2024年3月の『景気ウォッチャー調査』で「桜」関連判断DIを作ると、現状判断DIは58.3、先行き判断DIは67.9となる。景気判断の分岐点50.0を上回って景気判断にはプラス寄与だが、開花日が「3月14日」と早かった2023年の判断DI (70台)には届かなかった。
「開花日から満開日までの日数」にも注目
東京の開花日から満開日までの日数が長いかどうかも、重要なポイントだ。桜が長く咲いている年は、お花見ムードが続くので好景気が持続しやすい傾向がある。 東京の桜の開花・満開日と景気局面の関係を見ると、開花日が平年と同じか平年より早い年で、かつ「開花日から満開日までが11日以上」だと、景気後退局面ではないという関係がある。 また、開花日から満開日までが11日以上だった11年分すべてで見ると、1981年を除く10年において「景気後退局面ではない」という関係にある。 桜の花を愛でる期間が長いと、明るい気分になる人々が多いと思われる。 宅森 昭吉 景気探検家・エコノミスト ESPフォーキャスト調査委員会 委員 ほか
宅森 昭吉