「シン・霊長類最強女子」パリ五輪レスリング金メダリスト・藤波朱理が「多すぎるルーティン」を行う「納得の理由」
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私、めっちゃルーティンが多いんです
神経質なほどに試合前のルーティンにこだわるアスリートは多い。 たとえば、イチロー氏は試合の日の朝はカレーと決まっていた時期があったし、デトロイト・タイガースで活躍する前田健太も試合前のマエケン体操などいくつものルーティンがある。 試合に敗れるたびに会場までのルートを変更するという選手までいる。 今夏のパリ五輪女子レスリング53kg級で金メダルを獲得した藤波朱理(21歳)もまた、ルーティンに人一倍のこだわりを持つ。彼女は自身のルーティンについて、こう語っている。 「減量期に入る前日には必ず焼き肉を食べ、試合の直前には必ず美容室で髪の毛を切って気合を入れます。試合前夜は赤飯を食べるんですけど、海外の場合はアルファ米の赤飯バージョンを摂るようにしています。そして、試合が終わって帰国したら、減量前に行った焼き肉屋に再度、足を運ぶ。私、めっちゃルーティンが多いんです(笑)」
「勝負下着」も決まっている
試合当日の朝はシャワーを浴びて心身をスッキリさせ、靴下やシューズは必ず左足から履く。さらに勝負下着は高校時代の北海道遠征時に(同じくパリ五輪で金メダルを獲得した76kg級の)鏡優翔とおそろいで購入した、クマの絵柄が入ったものだ。 「縁起の良い下着なんですけど、実はだいぶくたびれちゃってて。だからパリでお別れしてきたんですが……」(藤波) この逸話には後日談がある。大事にしてきた勝負下着を決戦の地で泣く泣く廃棄したことがニュースになると、彼女が通う日本体育大学のキャンパスに、そのメーカーから同じ商品が届いたという。今後は2代目の勝負パンツを身につけてマットに上がることになる。 遂行できなかった時に不安に駆られるという理由で、多すぎるルーティンを嫌う選手も少なくない。だが、藤波は違う。 「減量中にやるべきことがたくさんあったほうが、余計なことを考えないですむし、むしろ競技に集中できる。ずっと続けてきたことをいまさらやめることはできません」 4年後のロサンゼルス大会を見据える藤波の不敗神話が続けば続くほど、試合前のルーティンは増えていくのだろう。 「週刊現代」2024年12月28・2025年1月4日号より
週刊現代、柳川 悠二