広島V3のなぜ?黄金期作ったドラフト戦略、育成、外国人補強の秘密を探る
広島が26日、マツダスタジアムで行われたヤクルトとの直接対決に10-0で圧勝して、3年連続9度目のリーグ優勝を果たした。カウントダウンで足踏みをしたが、最後は広島らしい打線の大爆発で、27年ぶりに地元ファンの前で緒方孝市監督(49)が9度、宙に舞った。広島のリーグ3連覇は球団史上初。山本浩二氏、故・衣笠祥雄氏が揃い、赤ヘル軍団と呼ばれた黄金期でさえ成し遂げられなかった快挙だ。 「最高です。選手だけでなくファンと一緒に胴上げしてもらえているみたいで夢のような時間でした」 「長く感じた、安定した戦いが長く続かず、苦しかった。主力が引っ張り、若い力が大きな力にもなり、開幕から自分たちのやる野球を最後まで信じてやった1試合、1試合の積み重ねが優勝につながったと思う」 緒方監督の優勝インタビューがマツダスタジアムに心地よく響いた。 広島のV3は、いかにして生まれたのか。 編成グループ長として、昨年までチーム強化にかかわってきた川端順氏(58)は、組織力、団結力を、その理由に挙げる。 「広島というチームはフロントから現場まで全員が意見を交換して、意思疎通をはかり、上から下まで緊張感を持って組織が1本化されている。編成部、スカウトを交えた会議には必ず松田オーナーが出席する。他の球団と違い、独立採算制で、球団経営をしている広島は、松田オーナーをトップに組織が1本化していて、ぶれず、しかも、意見交換の場が多いので、常に問題意識を共有して、今、何をすべきかのそれぞれの役割が明確だ。松田オーナーは、そういう場で意見を聞いてくれるし、いい、悪いの決断を下し、悪いところからは、いいものを探すことを徹底する。そして、松田オーナーの熱意と真摯な姿勢に、フロントも現場も、責任と緊張感を持って仕事をしている」 広島は、親会社の顔色を窺いながら、チーム運営をしなければならない他球団と違い、松田元オーナー(68)が、すべての人事権、決裁権を握っているため、メジャー球団型の経営、チーム強化が可能になっている。その上、球団の方針はドラフト、育成、戦略のすべてにおいてハッキリしていてぶれがない。 その象徴が成功しているドラフト戦略だ。 苑田聡彦スカウト統括部長と連携してドラフト戦略を立ててきた川端氏が言う。 「ドラフトの方針はハッキリしている。まずチーム全体のポジションを見て、今必要なポジション、数年後に必要となるポジションを分類して、どこから優先指名していくかの戦略を立てる。今必要なポジションは大学、社会人、数年後に必要になるポジションは高校生からリストアップする。野手に関しては“ピッチャーで4番”を狙う。これはデータが出ている。ピッチャーで4番を打つ選手は、センスと運動能力の塊であり、肩は文句なく、だいたいが足も速い。つまり長所を優先しながらリストアップするのだ」 」