WOWOWが自社映画「ゴールデンカムイ」をNetflix に投入した狙い~山本均社長にOTT時代の新戦略を聞く~【調査情報デジタル】
■WOWOWは「日本のNetflix」になれるか 境 最後に、大きな質問をさせていただきます。WOWOWが「日本のNetflix」になる可能性はあるでしょうか? 山本 (笑)大胆な質問ですね。率直に言って、Netflixのようなグローバルプラットフォームになることは、現実的には難しいでしょう。しかし、私たちにはNetflixにはない強みがあるんです。 我々は、グローバルに対してローカルにこだわる存在でありたいです。日本の優れたアーティストやクリエイターを育て、彼らの作品を世界に送り出す。そして、日本のエンターテインメント文化の発展に貢献する。これこそが、WOWOWの存在価値だと考えています。 さらに、日本の伝統文化と最新のテクノロジーを融合させた作品や、日本独自の社会問題を深く掘り下げたドラマなど、WOWOWにしかできない企画を積極的に推進していきます。 境 その戦略を実現する上で、課題はありますか? 山本 もちろん、課題はたくさんあります。一つは、グローバル展開に必要な資金と人材の確保です。また、海外の視聴者に日本のコンテンツの魅力を伝えるためのマーケティング戦略も重要になってきます。 しかし、最大の課題は、変化の速さについていくことかもしれません。テクノロジーの進化やユーザーの嗜好の変化は本当に速い。我々は常にアンテナを張り、柔軟に対応していく必要があります。 ただ、こうした課題があるからこそ、挑戦しがいがあります。WOWOWには、これらの課題を乗り越える力があると信じています。 ■インタビュー後記…プロパー社長だからこそ熟知するWOWOW独特の価値で怒涛の変化に対抗 私は、前社長の田中晃氏とは日本テレビ在籍中に仕事でご一緒し、エネルギッシュな仕事ぶりに感服した。山本氏は落ち着いた佇まいだが前社長に負けず劣らずエネルギーをお持ちで、多少突っ込んだ質問にも滔々と意見を述べられる。 そしてWOWOWで長年仕事してきたからこそ、その価値を熟知しており誇りを持っていることも伝わってきた。怒涛の変化が進むメディア業界を観察し、WOWOW独特の価値を生かして荒波を乗り越えようとしている。