WOWOWが自社映画「ゴールデンカムイ」をNetflix に投入した狙い~山本均社長にOTT時代の新戦略を聞く~【調査情報デジタル】
山本 例えば、TVerのような外部プラットフォームも、今後の重要な戦略の一つとして位置付けています。 TVerは、特にコネクテッドTVの普及とともに、重要性を増して非常に頼もしいプラットフォームに成長しました。WOWOWもTverを通じてコンテンツを提供し、新たな視聴者層の開拓につなげていきたいと考えています。 TVerでのコンテンツ視聴の3割超がコネクテッドTVからのアクセスだと聞いています。我々はこの流れをしっかりと捉え、TVerを通じてWOWOWの魅力を伝えていきたいと考えています。 境 なるほど。TVerを通じた展開は、地上波放送局との協力の一例ということですね。他にも何か考えていることはありますか? 山本 コンテンツの共同制作も検討しています。WOWOWには長年培ってきた質の高いドラマ制作のノウハウがあります。一方、地上波放送局にはより幅広い視聴者層へのリーチがあります。この強みを組み合わせることで、より多くの人に楽しんでいただけるコンテンツを生み出せる可能性があるんです。 ただし、重要なのは我々の独自性を失わないことです。WOWOWには、WOWOWにしかできない挑戦があります。その独自性を保ちつつ、協力できる部分では積極的に協力していく。そんなバランスを取っていきたいと考えています。 ■WOWOWが考えるグローバル市場へのアプローチ 境 近年、「ゴジラ-1.0」や「SHOGUN」など、日本発や日本関連のコンテンツが海外で高い評価を得ています。この流れを受け、WOWOWのグローバル展開の可能性についてはどのようにお考えですか? 山本 これは非常に興味深い流れですね。ただWOWOWは放送免許の関係上、国内のビジネスを超えることは難しい。ですが、グローバル企業の参入により我々のコンテンツを海外で展開する機会も確実に増えています。 我々の役割は、日本のアーティストやクリエイターを大切にし、彼らが世界に羽ばたくチャンスを提供することだと考えています。WOWOWが長年培ってきた制作能力や、日本の文化への深い理解を活かし、世界に通用するコンテンツを生み出していく。これが我々のグローバル市場へのアプローチです。 例えば、現在アニメ分野での展開を進めています。日本のアニメは世界で高い評価を得ていますが、我々はWOWOWならではの切り口で、新たな作品を生み出していきたいと考えています。既に、海外市場を意識したアニメ企画を進めているところです。