緊張する場で平常心が保てる人・保てない人の差 焦る・不安な気持ちになるときの「心の仕組み」
「生」に対する欲望が強ければ強いほど、「死」に対する不安が強くなります。「まだ死にたくない」とか、「死ぬのは怖い」と考えるから、健康診断の結果に動揺して、不安な気持ちになります。 極端なことをいえば、「いつ死んでもいい」と思っている人であれば、死の不安を感じることはないのです。「生」に対する欲望が極端に強いことが、不安になる原因の1つといえます。 ■人に嫌われてもいいと思えば、緊張は和らぐ 入学試験のケースで考えてみると、試験に落ちるのが不安で仕方がない人というのは、絶対に合格したいと思っている人です。「合格したい」という欲望が強いから、「不合格になったら、どうしよう……」という不安を抱え込むことになります。
同じ学校を受験しても、それが「記念受験」(合格する見込みがない、記念のための受験)であれば、緊張や不安を感じることなく、気楽に臨むことができるのです。 健康でありたいとか、希望する学校に合格したいという思いは誰にでもありますから、緊張したり、焦ってしまうことを良し悪しで考える必要はありません。大事なのは、自分の欲望が強いから、不安になるのだな……という心の「仕組み」を理解して、前向きな気持ちで不安と向き合えばいいのです。
その不安にどうしても耐えられなければ、欲望のテンションを意識的に下げることによって、その不安から解放されます。 日本人の場合は、「周囲から嫌われてはいけない」という強い欲望があるため、少しのことで不安になったり、焦ったりします。「少しくらい、人に嫌われてもいい」と考えることができれば、それに応じて、緊張や不安を和らげることができます。 欲望のテンションを下げるとは、これまでとは違う視点で物ごとに向き合って、少しだけ考え方を変えることを意味しています。
インターネットやSNSの普及によって、現代は情報過多の時代になっています。便利になった一方で、新たな問題も起こっています。情報を知りすぎることで、考えることが多くなり、どうしても不安になってしまう傾向があることです。 例えば、ネット上には無数の健康情報がアップされていますが、間違った情報や、最新の科学で否定されている古い情報がアップデートされないまま掲載されていることが少なくありません。そうした情報に振り回されて、不安を抱え込む人が増えているのです。