トランプ大統領が「韓国を取り上げるとき」と請求書【コラム】
18日、韓国メディアは集団パニックに陥った。米国のドナルド・トランプ次期大統領が、大統領選後初となる記者会見で、北朝鮮・中国・日本は取り上げたが、韓国には言及しなかったという理由によるものだ。トランプ氏の「韓国はずし」に対する懸念が高まった。全世界がトランプ氏とのコネを作ろうと血眼になっているにもかかわらず、韓国は大統領が職務停止となり、外交空白が避けられない点も指摘した。先週末に「民間人」である新世界グループのチョン・ヨンジン会長がトランプ氏に会ったという事実が伝わると、「なのに政府は…」という声が漏れ出た。 一理はある。外交の「花」は首脳外交だ。偶然にも、または不幸なことに、韓国はなぜか外交と交渉の基本・原則を完全に無視するトランプ氏が登板するたびに、彼を相手にすべき大統領が不在になる。最初のボタンをうまくはめるべきなのにはめられず、はじめが肝心だというのにスタートラインも程遠いという人もいるだろう。 しかし、トランプ氏が名前を挙げた国や首脳たちは、本当に「花」になっているのだろうか。 まず、日本の石破茂首相。トランプ氏の記者会見は、日本のソフトバンクの孫正義会長が米国に1000億ドルを投資すると発表したことをきっかけに設けられた。日本の記者が「日本の石破首相が(あなたと)会うことを望んでいる」と水を向けると、トランプ氏は「もちろん首相に会いたい」と答えた。記者が再度「就任前の実現」の可能性を尋ねた。「望むのであればそうする」と答えた。実際に実現するかどうかは見守る必要がありそうだ。 トランプ氏がかなり長い時間を割いて取り上げた中国の習近平国家主席に関しては、「習近平が就任式に行かないと言ったことに失望したか」という記者の質問が発端となった。直接名前が挙がったわけではないが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長も言及された。ジョー・バイデン政権の誤った判断が北朝鮮の参戦を招いたとして、金委員長について「私がまた仲良くする男」だと述べた。これらは質問に答える過程で登場した人物たちだ。 トランプ氏が先月25日に取り上げた隣国のカナダとメキシコのケースをみてみよう。両国はトランプ氏から25%の関税爆弾の脅しを受けた。4日後に(トランプ氏の別荘の)マールアラーゴを訪れたカナダのジャスティン・トルドー首相は、当選後のトランプ氏に最初に会った外国首相となった。ところがトルドー首相は、トランプ氏から米国の51番目の「州知事」だと揶揄されている。 トランプ氏はこれまでに、韓国を口にしたときに良い話をしたことがあっただろうか。第1次トランプ政権まで遡ってみよう。2017年、トランプ氏は、韓米自由貿易協定(FTA)は「ひどい 取引」だと述べたり、高高度ミサイル防御(THAAD)システムの配備費用として「10億ドル出せ」と言って韓国を叱責したりした。また、「韓国は金持ちの国」だと言い、頻繁に韓国の防衛費分担金への寄与が「あまりにも少ない」と主張した。トランプ氏が韓国を取り上げるときには、法則のように天文学的な請求書が舞い込んできた。今回の選挙運動の過程では「韓国はマネーマシン(money machine)」だと言い、自身が大統領になれば韓国は防衛費分担金として「年間100億ドル出す」と言ったり、韓国は「貿易においては敵国」だと言ったりした。こうなると、トランプ氏が取り上げなくて幸いだったという側面もあるのではないか。 外交の空白はないほうが当然望ましい。しかし、トランプ氏が言及しなかったからといって、また、トランプ氏に会えないからといって、とんでもないことになるわけではない。韓国が取り上げられるときに備えて、粛々と徹底して対応を準備すればいい。 キム・ジウン|国際ニュースチーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )