保志総一朗『ガンダムSEED』役作り悩んだ22年 キラの成長に追いつけず…続編期待で「完結するような物語ではない」
■ともに悩んだアニメ第1作から、キラの成長を実感した第2作&劇場版
劇場版が公開されるまでの約18年間もゲームなどでキラのキャラクターボイスを担当してきた保志。『DESTINY』ではある意味悟りを開いたかのような境地に至っていたキラだが、『FREEDOM』では『SEED』時代を彷彿させるような葛藤や危うさを感じさせる雰囲気も漂わせ、保志も「ある意味『FREEDOM』でまたちょっと印象が変わった」と口にする。 「『DESTINY』で一旦、最新のキラのイメージが自分の中では止まっていたのですが、毎年ゲームなどで『SEED』時代のキラを演じる機会もある。不思議な感じもするし、ちょっと混乱するような感覚もどこかありました」と告白。 その感覚について、「最初は『機動戦士ガンダム』のアムロじゃないけど、キラが成り行きで戦争に巻き込まれて何もわからず悩み葛藤しながら成長していく部分が、『ガンダムSEED』に関わってアフレコしていた自分に重なるところもあった」と説明し、「キャラクターを深掘りしていくより、毎週キラとともに必死に悩んで乗り越えて頑張る気持ちの方が強かった」と振り返る。 「自分はあの時キラと一緒になれていた感覚があった。ただ『SEED』で成長してラクスからフリーダムを託され、そこから『DESTINY』に至るキラの成長は、自分の中では二段階も三段階もキラが僕より先に進んでしまった感じがあった。一緒に悩んで乗り越える時代ではなくなった感覚が『DESTINY』時代にはありました」。 今作では作品世界内の時間軸が進んだキラを演じ、「改めて強さだけじゃない弱さだったり危うい部分だったり、そういった人間としての魅力、『DESTINY』時代ではわからなかった“本当のキラ”のようものを感じた」と魅力やらしさを再確認したという。 劇中でキラはラクスの行動に対して「彼女は僕らを裏切った」など泣き言を口にする場面もある一方で、「僕は自分の手で未来を選ぶ」という新たな一歩を予感させるセリフもある。「SEEDシリーズ」ならではのキャラクターの心の揺れがドラマへと直結する仕掛けともいえるが、保志は「どんな状況になってもやっぱりキラはキラ」と言ってうなずく。 「ちょっと自分の中では意外な部分もあって、ファンも『DESTINY』時代のあのキラになった印象が強いと思うから、キラへの見方や印象もかなり変わると思う。セリフもかなり思い切っていて。キラに限らず、大事なことがセリフに散りばめられ、名ゼリフとして今後ピックアップされるものも多いと思います」。