「巨人軍」「ヤンキース」への入団を選手がためらう理由…日米「名門球団」のブランド力はもはや通用しないのか
「ジーターの後継者」に去られ
日米の伝統球団が“最優先事項の補強”に失敗し、それを挽回するためか、相次いで大型補強をまとめて、25年シーズンに挑む。 【図表】誰もが知る有名選手ばかり! 巨人歴代FA獲得選手一覧
2024年12月27日(現地時間)、メジャーリーグ公式ニュースサイト「MLB.com」など複数の米メディアが、ヤンキースからフリーエージェント(以下、FA)になっていた内野手のグレイバー・トーレス(28)のタイガース入りを報じた。1年契約で契約金は1500万ドル(約23億3000万円)、巨額な補強費を持つヤンキースであれば、決して払えない金額ではなかった。むしろ、引きとめるべき有望な若手を流出したとして批判的な声が多く出ていた。 「トーレスはカブス傘下のマイナー時代にヤンキースに見込まれ、トレードで移籍して来ました。当時は『(チームの15代目主将で、背番号2が永久欠番の)デレク・ジーターの後継者』とも称され、メジャーデビューした18年には、大谷翔平(30)とも新人王を争い、その後はチャンスメーカーとして高い出塁率を誇って来ました」(地元メディア関係者) トーレスは複数年契約を求めたが、色好い返事はもらえなかったという。心機一転で新天地を求め、タイガースと契約したわけだ。 「近年、ヤンキースは長期契約に難色を示すようになりました。選手が契約期間中に大きな怪我を負い、シーズンを棒に振るような長期離脱を恐れたからです。今オフ、米FA市場でナンバー1の注目を集めたホアン・ソト(26)を引き止められなかったのも、契約年数でもめたからだと言われています」(前出・同) 複数年契約中の長期離脱を嫌うという考え方は、球団としては間違ってはいない。しかし、選手によっては長期契約を提示すべきところを見誤ってしまったというのがトーレスのケースだったようだ。 一方で、ヤンキースがソト慰留のために用意していた「7億6000万ドル(約1188億円)」の使い道は、ファンにとっても“予想外の補強”だった。 「ブレーブスからFAになっていた左腕のマックス・フリード(30)と『8年総額2億1800万円(約331億円)』の大型契約を結びました。フリードは今季11勝。左投手ではMLB史上最大の契約です。確かに良い左腕ですが、今年のFA市場での左投手といえば、菊池雄星(33)のほうがランキング、話題性ともに上でした。シーズン途中にアストロズへ移籍してから、勝率は8割強。シーズントータルで206奪三振を奪い、チームの優勝にも大きく貢献していますからね」(前出・米国人ライター)