「産後うつ」と「マタニティブルー」は全くの別物! 現役産婦人科医が教える、乗り切り方
妊婦健診ではなかなか聞きたくても聞けない話から、お医者さん側の本音まで。現役産婦人科医・遠藤 周一郎先生がわかりやすく解説します!  妊娠~出産~産後の不安&疑問をどこよりも丁寧に解説した妊娠・出産ガイド『はじめてでもよくわかる 知っておきたい妊娠と出産安心BOOK』。無痛(和痛)分娩の話や高齢出産について、卵子凍結の話などの最新情報や、ぜひ男性に読んでほしいパパ向けの内容も収録。今回はその中から「産後」の気になるトピックをご紹介します。 【子育てがつらい…】負のループから抜け出せないママが今すぐやめるべき“思考のクセ”
マタニティブルーと産後うつは別物
産後はさまざまな状況が変化するので、気分の落ち込みは多かれ少なかれ誰しも経験します。俗にいうマタニティブルーかな? と放置しがちですが、とても重要なことをひとつ覚えておいてください。それは「マタニティブルー」と「産後うつ」は全くの別物だということです。 マタニティブルーは約半数のお母さんが経験するといわれていて、ホルモンの変化や急激な環境の変化による、一過性のうつ状態です。産後1~2週間くらいで自然に軽快します。一方、言葉がとってもややこしいのですが、産後うつはマタニティブルーよりも遅れて発症する傾向がある強いうつ状態で、脳の中がいわゆる一般的なうつ病と同じしくみになる立派な病気なのです。 病院で受診していない潜在的な産後うつのお母さんを含めると全体の10~15%の発症率であるといわれ、早いうちにきちんと治療しないと育児放棄や児童虐待、最悪の場合は母子の無理心中を引き起こしかねない危険な状態となります。 現在、日本の家族形態は夫婦と子どもだけで暮らす核家族化が進んでいるので、昔と違って家族が育児を日常的に手伝ってくれる環境を作るのが難しくなり、産後のお母さんは孤立しがちです。 産後のさまざまなストレスを抱え込まないためには、いろんなコミュニティに参加し、人とのつながりを持つことが重要だと思います。お産前から妊婦さん向けのヨガ教室やスイミングに通ってもよいですし、最近は自治体も積極的に妊婦さんや産褥婦さんに対する支援を行っています。「自分の住んでいる市区町村名 妊婦サービス」などで検索すると、保健師による 母親学級や悩み相談、企業と連携したイベントなどの情報を得ることができますので、ぜひ活用してください。 また産後うつには、エジンバラ産後うつ病自己質問票(EPDS)という自分でできるスクリーニング方法があります。ネットで検索すると質問票が出てくるので、うつっぽい症状がある、感情のコントロールがつかないなど、「おかしい!」と思ったら一度チェックしてみてください。 \遠藤先生から伝えたいこと/ ・マタニティブルーと産後うつは別物 ・産後は積極的に人とかかわってストレスを抱え込まないように 出産後は、自分のまわりの世界が急激に変化するで、思わぬストレスがかかることが多々あります。ひとりで抱え込みすぎないようにしましょう。
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