都内で暮らす20代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら?【2024年版】
20代で貯蓄ゼロは35.7%、貯蓄ありの平均額は約403万円
では、20代の平均貯蓄額はいくらでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)2023年」によれば、貯蓄がある世帯の平均貯蓄額は、約403万円です。
金融資産保有高(金融資産保有の、二人以上世帯)
20代で400万円以上の貯蓄が平均だなんて、ずいぶん高額だな、と思ったとしても無理はありません。平均値とは、合計を件数で割っただけの数値なので、少数でも極端に大きな金額が入ると平均値が大きくなり、実態を表すデータにならない場合があるのです。 一方、中央値はより実態をあらわしていると言われます。中央値とは、数値の小さいものから順番に並べて、ちょうど真ん中の値です。金融資産を保有している20代世帯の貯蓄額中央値は、171万円。403万円に比べると、より実感をもてる金額ではないでしょうか。 とはいえ、貯蓄171万円は、貯蓄のある世帯の中央値です。金融資産を保有していない世帯、つまり貯蓄ゼロの世帯は36.8%。そして、貯蓄がゼロの世帯を含んだ場合の貯蓄金額の中央値は30万円です。
金融資産保有高(金融資産を保有していない世帯を含む、二人以上世帯)
20代夫婦は社会人として働き始めたばかり。貯蓄はまだまだこれから、という時期ではありますが、貯蓄額が少ないのは将来への不安にもつながりかねません。緊急予備資金として半年分の生活費程度の貯蓄ができるまでは、頑張って二人で働くという選択肢の検討も必要ではないでしょうか。
生活費は1カ月平均27万5000円
貯蓄をするには、収入アップとともに節約も大切。浪費が多ければいくら収入があっても足りません。総務省の「2019年全国家計構造調査家計収支に関する結果」によれば、都内で暮らす20代夫婦の平均生活費は月27万5000円です。
東京都で働く世帯の消費支出(世帯主30歳未満)
「2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果」より筆者作成 世帯収入の52万5000円から差し引くと25万円の黒字です。税金や社会保険料などにより可処分所得は減りますが、将来のライフイベントのために、月10万円程度は貯蓄に回したいところです。貯蓄は、生活費とは別の口座を利用します。生活費とは別管理にすることで、計画的に貯蓄しやすくなるメリットがありますので、ここは面倒がらずにしておきましょう。 そして、インフレ・増税時代を考えると投資の力が欠かせません。投資を始めるならNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)がおススメです。特に、つみたて投資枠で購入できる商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されているので、投資初心者にとって、比較的安心して投資ができます。 2024年1月に新制度になったNISAでは、投資による利益が非課税なのは従来のまま、非課税期間が20年までだったところ無期限になりました。また、投資枠も増え、コツコツタイプのつみたて投資枠と、株式投資などで売却益も狙える成長投資枠の両方を利用することができます。預貯金の残高がある程度になったら、次のステップとしてNISAをはじめてもいいでしょう。 貯蓄・投資をする際には、目的と名義決めも同時にします。目的は、「旅行資金」「マイホーム資金」などが考えられますが、まずは「とりあえず100万円」でもよいでしょう。ただし、その貯蓄・投資はどちらの名義であっても「夫婦のお金」である、というコンセンサスが大切です。投資については、運用方法の決定権も夫婦間で決めておきます。 夫婦のあり方は、家計の管理にも影響しますが、逆もまた真なりです。「夫婦のお金」と「自分のお金」は、どちらも大切にしたいもの。お互いのためにどのようにバランスをとっていくか、双方が納得できる家計を作り上げて欲しいと思います。
タケイ啓子(ファイナンシャルプランナー)