スペースデータ、最高科学責任者を設置–「太陽系デジタルツイン」を構築開始
スペースデータ(東京都港区)は11月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など世界の主要な宇宙機関で惑星探査計画に従事している兵頭龍樹氏が最高科学責任者(Chief Science Officer:CSO)に就任したことを発表した。兵藤氏の専門分野であるコンピューターシミュレーション技術を活用し、太陽系全体をデジタル空間に再現する「太陽系デジタルツイン」の構築を開始する。 兵藤氏は、パリ大学と神戸大学で博士号を取得。JAXAのほか米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)で惑星探査計画に従事。専門は惑星科学と宇宙物理学。パリ大学と東京科学大学(旧東京工業大学)を兼任している。 スペースデータは、宇宙ステーションなどの宇宙環境をデジタル空間に再現する「宇宙デジタルツイン」の開発を進めている。太陽系デジタルツインは、地球から太陽系全体にわたるさまざまな物理現象をデジタル空間上で再現することを目指す。 太陽系デジタルツインは、NASAやJAXAなどの惑星探査ミッションで取得されたデータを活用し、太陽系の正確な姿をデジタル上に構築する。宇宙探査や宇宙資源の探査、惑星の気象研究、小惑星衝突から地球を守るための“惑星防衛(プラネタリーディフェンス)”など、さまざまな分野でのイノベーションを促進するという。 スペースデータは「新しい宇宙を作る」というビジョンのもと、コンピューター上に宇宙全体を再現することを目指して、さまざまな研究開発を進めてきたと説明。兵頭氏の参画によって、地球や低軌道だけでなく、太陽系、その外側に広がる広大な宇宙全体をコンピューター上で再現する未来への重要な一歩になると期待していると説明している。 兵頭氏が参画することで太陽系デジタルツインの開発には地球や惑星の気象モデル、物理化学現象のシミュレーションも取り入れ、宇宙開発をより開かれたものとすることで、誰もが宇宙にアクセスできる未来を目指すと説明。コンピューターシミュレーションでの災害管理や宇宙資源の有効利用など、宇宙開発にとどまらず地球上の課題解決にも寄与できるとしている。
UchuBizスタッフ