介護職歴18年の女優・北原佐和子 大変だろうと避けていた入浴介助。それが<かけがえのない時間>だと気づいたきっかけとは
厚生労働省が実施した「令和4年 介護サービス施設・事業所調査」によると、介護に従事する職員数は年々増加しており、令和4年度は215.4万人だったそうです。そのようななか「女優の仕事と介護の仕事は似ている」と話すのは、芸能活動のかたわら、介護福祉士や准看護師として現場で活躍する北原佐和子さん。今回は、北原さんの著書『ケアマネ女優の実践ノート』から、北原さんが介護の現場で経験したエピソードを一部ご紹介します。 【写真】利用者さんと笑顔でハグをする北原さん * * * * * * * ◆お湯に浸かると「本音がポロリ」興味を抱くきっかけになった、入浴介助 最初に携わったのは、民家を改装した宅老所と呼ばれる介護施設でした。 そこでは6名の高齢者が生活されていて、認知症の方もいらっしゃいました。自宅からデイサービスに通ってくる方々もおられました。 当時は何もかもが初めての経験。不安で胸がいっぱいです。 そんな私ですから、当たり障りのない掃除や洗濯を優先していて……。 入浴介助や夜勤といった大変な仕事からは逃げ回っていました。 ところが、あるときから、入浴介助が楽しみになったのです!
◆飾り気のない本音 施設の浴室は家庭用のような小さな造りだったので、入浴はひとりずつ。着替えを含めて、時間はだいたい20分ほど。 日中、フロアで仕事をしていると、何人も同時にお世話をするので、どうしても目先の作業に追われてしまいます。ところが入浴介助では、マンツーマン。20分間、ひとりの方にだけ、濃密に関われるチャンスでした。 温かいお湯に浸(つ)かると、心の緊張がじんわりほどけてくるのでしょう。 たとえばデイサービスの利用者さんは、家の中でのちょっとした出来事を話してくださるのですね。 お嫁さんとケンカした。孫が肩をたたいてくれた。愛犬がかわいい。 そんな飾り気のない本音をポツリポツリと語ってくれます。 入浴介助の仕事は、相手としっかりと向き合える、かけがえのない時間なのだと気づきました。 そうした経験から、利用者さんに対して徐々に興味を抱くようになり、気負うことなくコミュニケーションできるようになっていきました。
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