人気急上昇の日本プロバスケットボール、NBAに次ぐ世界2位目指す
(ブルームバーグ): ファンで埋め尽くされた東京の体育館で、バスケットボールの試合が行われた。ホームチームの「サンロッカーズ渋谷」は、前半終了までに12点差をつけられていた。試合を支配していたのは相手チームの選手で、勝ち目は薄いように思われた。しかし、後半にまさかの逆転劇が起きた。
サンロッカーズのコーチは、米国出身のフォワード、ジェフ・ギブス選手を投入。同選手は相手チームのシュートを次々と阻止し、リバウンドを奪い、すきのない完璧なディフェンスを見せ始めた。逆転の勢いが強まると、スリーポイントシュートのチャンスを獲得し、それを見事に決めた。観客はどよめいた。サンロッカーズは10点差で勝利し、この試合の最優秀選手賞は途中交代で出場したギブス選手に贈られた。
ギブス選手は「プレーしていてよかった。特にこの年齢になるとそう思う」と特大の小切手のパネルを受け取りながら語った。
ギブス選手は43歳で、マイケル・ジョーダンが3度目の引退をした時の年齢を3歳上回る。プロバスケ選手として20年間のキャリアを持つ同選手は、息の長さではコービー・ブライアントや、往年の名選手ロバート・パリッシュに肩を並べる。
しかし、ギブス選手は母国プロバスケットボールNBAでスター選手になったことは一度もない。好きなスポーツで生計を立てるために国から国へと渡り歩く熟練職人のような選手の一人だ。
米オハイオ州出身で、ドイツ経由で来日したギブス選手は「スタートしたころはパスポートも持っていなかった」とした上で、「いろいろな国を渡り歩き、子どもたちに世界を見せて回ることができた。今はどこでもバスケがプレーされている」と話す。
NBAが依然として不動の最高峰である一方、プロバスケリーグがある国は今や100カ国余りとなり、全世界の収入は120億ドル(約1兆8600億円)を超える。
国際バスケットボール連盟(FIBA)のデータによると、昨シーズンの海外移籍選手の数は初めて1万1000人を突破した。スペイン、フランス、ドイツといった欧州の名門リーグでは、外国人選手の割合が50%を超え、その中でも最大を占めるのが米国出身の選手だ。NBAでも、過去3シーズンにMVPを獲得したのは、カメルーン、セルビア、ギリシャ出身の選手だ。