米株高でも意気消沈か、生計費高騰や資産格差でネガティブな景況感
(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、インフレ抑制のための景気減速で主要なてことなる同国の金融情勢について、引き締まっているとの考えを何度も表明してきた。
一方、昨年10月終盤以降で11兆ドル(約1720兆円)分に相当する米株価上昇や、「ミーム株」ブームの突然の再燃を受け、ウォール街ではパウエル議長が完全に間違っているとの見方が多い。
投資環境を示す一般的な指標は非常に緩和的であるばかりか、一部の指標に至っては米金融当局が2022年3月に引き締めキャンペーンを開始する前よりも緩和的となっている。
パウエル議長が自身のレガシーを懸けて取り組むインフレ退治を手助けするどころか、リスク資産の市場の熱狂は個人消費を促して物価抑制の目標に逆効果となっているというのが、議長への反論の趣旨だ。
しかし、家計資産に関する金融当局の最新データからは、金融情勢と経済全般との関係を巡るパウエル議長の楽観的な姿勢や、消費者景気信頼感がS&P500種株価指数の上昇からは切り離されたままである理由が浮き彫りとなる。
端的に言えば、大幅な資産格差の下で市場のブームの果実の配分が不均一なままであることを意味する。インフレ調整後で見た株価上昇は引き続き小幅であるとしても、こうした格差は世代間や人種間で特に顕著だ。
このため、株式相場は米富裕層を鼓舞しているかもしれないが、インフレや高金利に伴う債務返済の負担増に苦しむそれ以外の人々にとって、活気づける材料にはほとんどなっていない。
ソーシャルメディア・クリエーターで、ブルームバーグ・オピニオンのビデオコラムニストを務めるカイラ・スキャンロン氏は、「インフレは『圧力鍋』のようなものであり、そのことが消費者の景況感がこれほどネガティブな主な理由だ」と語った。
米消費者センチメント急低下、インフレ期待上昇-ミシガン大調査
「vibe(雰囲気)」と「recession(景気後退)」を合わせたスキャンロン氏の造語である「vibecession(バイブセッション)」は、比較的好調な経済情勢とそれについての有権者のさえない感情との間の食い違いを指すものだ。