日本の常識が通じない小池都知事「学歴詐称疑惑」、現地取材の黒木亮氏「日本人は書類を信じすぎ。エジプトの実態は違う」
なぜ、これほどまで食い違うのか――。 東京都の小池百合子知事が都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に3選を目指し出馬するかどうか注目されている。小池氏をめぐっては、「カイロ大学卒業」という学歴が詐称ではないかと取り沙汰されてきた。 2020年に刊行された『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋)では、カイロで小池氏と同居していた北原百代氏が匿名で、小池氏がカイロ大学の進級試験で落第し、卒業できずに帰国したことを具体的に証言。2023年刊行された文庫版では実名での告発に踏み切り、『月刊文藝春秋』2024年5月号で証言。メディアの取材にも応じている。 【この記事の他の画像を見る】
一方、小池氏は「大学が卒業を認めている。卒業を証明するのは大学」と繰り返す。 カイロへの留学経験があり、疑惑について2016~2019年に現地で5回行った調査をもとに、『JBpress』などで複数の記事を執筆してきた作家の黒木亮氏に聞いた。 ■実態と乖離した記録が存在する ――取材時にカイロ大学はどのような対応でしたか。 僕が行ったときは、日本語学科長のアーデル・アミン・サーレハ氏が出てきて、「小池さんは卒業しています」と答えました。その後、複数回カイロ大学で関係者に取材した結果、大学側は「1972年入学・1976年卒業」というストーリーで小池氏に関する書類を整えているのではないかと感じました。
ところが小池氏が政治家になる前の自著『振り袖、ピラミッドを登る』(講談社、1982年)でも、『外国語をどう学んだか』(講談社現代新書、1992年)への寄稿でも、「(1年目に)落第した」と書いていますから、卒業は1977年以降でなければ辻褄が合いません。 また、小池氏とカイロで同居していた北原さんは、小池氏がカイロ大学に入学したのは1973年で、2年次に編入したと証言しています。 要は、実態と記録が乖離しているのです。