「公務員出身者」だからこそ知っている「読み手に伝わる文章」3つの条件…正確に書く、わかりやすく書く、あと1つは?
メール、企画書、レポート、SNSなど、ビジネスパーソンにとって「文章力」は必須ともいえる能力。元国税専門官で、現在はフリーランスライターとして活躍する小林義崇氏によれば、読み手に伝わる文章を書くためには、国や公共団体が出す文書や法令のために用いられる「公用文」が参考になるという。「3つの条件」があるという。著書『新しいフリーランスの歩き方』も好評な小林氏が、「公用文」の書き方をもとに読み手に伝わる文章の条件を解説する。 【マンガ】「文章で気を使いすぎる人」あるある(by山田全自動)
文章の書き方は「公用文」が教えてくれる
お役所の文章というと「小難しくて読みにくい」というイメージがあるかもしれませんが、実は公用文の基本的な考えは真逆です。 そのことは、文化審議会による「公用文作成の考え方(建議)」(以下「公用文マニュアル」)に記載されている、次の「読み手に伝わる公用文作成の条件」が端的に示しています。 (1) 正確に書く (2) わかりやすく書く (3) 気持ちに配慮して書く 公的な文書には、税金や健康、教育など、僕たちの生活を左右する情報が書かれています。そのため、読み手によって解釈が分かれるような書き方はできる限り避けなくてはいけません。読み手にきちんと情報を伝えることが公用文の最大の目的であり、そのために掲げられているのが、これら3つの条件なのです。 そして、この3つの条件を満たす文章を書くことができれば、仕事の幅は確実に広がります。なぜなら、あらゆるビジネスは売り手から買い手に価値を伝えようとしていますから、人に理解してもらえる文章に対するニーズは無限にあるからです。 それでは、3つの条件の中身をもう少し詳しく見ていきましょう。 公用文における「正確に書く」とは、必要な内容を過不足なく伝えることを意味します。情報を書きすぎる文章も、逆に必要な情報が欠けている文章も、公用文としては失格です。 そのため、どのような文章を書くにしても、まずは事実をしっかり把握することが大事になってきます。事実確認が曖昧なままで文章を書いてはいけません。 また、正確さが求められる一方で、「厳密さを求めすぎない」ことも公用文では望ましいとされています。たとえば、専門家同士でなければ通じないような専門用語やデータをそのまま使っても、一般読者には伝わりません。文章の正確性は維持しつつも、必要な情報を取捨選択する必要があります。