AIで宇宙の「天気」を予測するスタートアップ、発展する宇宙産業が抱える問題を解決か?
正確な宇宙天気予報が、宇宙経済の発展を後押しする
宇宙経済が拡大の一途をたどるのと同時に、2023年は、全世界から衛星など宇宙に打ち上げられた物体の数が過去最高を記録した。国際連合宇宙局の2024年のデータによれば、その数は2,664個。うち81%が米国の企業などによるものだ。スペースXのスターリンクは、全世界が打ち上げた2,664のうち73%にも上る。 打ち上げられた衛星の数は2019年以降、急増している。同局によると、地球の周回軌道上には現在1万2,000個近くの人工物体があるそうだ。衛星の数の増加は、衛星を介した接続性の向上、携帯電話の測位やナビゲーションサービス、AIおよび機械学習の活用などに役立っている。今後も、産業の変革、経済発展の新たな機会、科学的発見を促す大きな可能性を秘めている。 マッキンゼーと世界経済フォーラム共同の調査レポートにもあるように、世界の宇宙経済の規模は、2035年までに1兆8,000億米ドル(約255兆円)になると予測されている。 その一方で、打ち上げ衛星数の増加は、宇宙ゴミや、地球の周回軌道上の混雑への懸念に拍車をかける。宇宙天気に関する情報が十分になければ、私たちの宇宙での活動に制限をかけざるを得ず、人命が失われることも起こり得る。 創立者でありCEOでもある、パドマシュリ・スレシュ氏は、スタートアップニュースをカナダで発信している、Betakitのインタビューで、誰もが宇宙での活動を安くしようと知恵を絞っているが、同社は安全にする方法を考えていると話している。宇宙天気をおざなりにすると、将来性を見込まれている宇宙産業も頭打ちとなってしまう。 宇宙天気自体だけでなく、分析・洞察を加えた情報を提供し、その時の宇宙天気下で計画していた活動が可能なのか、中止すべきなのかまで判断してくれるパーセプティブ・スペース社の予報は貴重だ。 同社のAIを取り入れた革新的な問題解決策に対し、市場での需要は高く、すでに複数の衛星運用会社や打ち上げを行う会社が早期契約を結んでいる。2025年初頭にLEO(低軌道)ミッション向けの宇宙天気APIとダッシュボードをリリースする予定だ。
文:クローディアー真理/ 編集:岡徳之(Livit)