「第11回新千歳空港国際アニメーション映画祭」が11月に開催へ。美術分野に関わるプログラムに注目
11月1日~5日、北海道の新千歳空港にて「第11回新千歳空港国際アニメーション映画祭」が開催される。 同映画祭は、世界でも類を見ない「空港映画祭」として、空港内ですべてのプログラムが完結するユニークな形態を特徴とする。新千歳空港ターミナルビル内のシアターやホールを会場に、アニメーションを通じた文化振興と国際交流を目指し、北海道の文化や経済活性化にも寄与するイベントだ。2014年にスタートしたこの映画祭は、毎年国際的な注目を集め、今回で11回目を迎える。 今年の映画祭では、過去大会で築き上げた実績と信頼をさらに強固にし、より多角的な展開を図ることで、北海道のみならず日本を代表する映画祭へと発展を目指す。また、今年は美術分野にも焦点を当てたプログラムが充実しており、視覚芸術とアニメーションの融合が見どころとなっている。 注目のプログラムのひとつは、中国の若手アーティスト、ガオ・ユアンの作品だ。その作品は、ヨーロッパのコレクターから高い評価を受け、香港のM+や、JPモルガン・チェース・アートコレクションにも収蔵されている。 今回、「コンペティション長編部門」の国際審査員も務めるガオのフィルム作品が日本で初めて上映されることに加え、アーティストトークも行われる予定だ。代表作『Lunar Dial』は、絵画とドローイングをモンタージュした作品で、時間の流れをテーマに独特の時間観を表現している。また、『Cloud of the Unknown』は夢と現実の狭間で漂うような体験を描き、長編映画の予告編的役割も果たしている作品だ。 もうひとつの注目プログラムは、今年宇都宮美術館で個展を開催したスイスを代表する映像作家、イヴ・ネッツハマーの長編映画デビュー作『Journey Of Shadows』の上映だ。この作品は、ジェンダーレスな主人公の非現実的な冒険を描き、テクノロジーの時代における人間らしさとは何かを問いかける。ゴーレム伝説にインスピレーションを得たディストピア的世界を舞台に、3Dアニメーション技術を駆使して表現されている。上映後にはアーティストトークも行われ、制作の背景やテーマについての解説が期待される。 アニメーションと美術の垣根を越えた同映画祭。観客には多様な視点と新しい体験をもたらすだろう。