岡本多緒 トップモデルからハリウッドで俳優デビュー、初めて監督に挑戦した短編映画が劇場公開!
■監督業にも意欲満々、すでに3作目も撮影
監督第3作「My Sweet Pala」を撮り終えたばかり。監督第2作目「EXHIBIT」(エグゼビット=展示)は「ゆうばり国際ファンタスティック映画際」ほかに出品。冷たいコンクリートの部屋に入れられている一人の女性が出産、母親になるが子どもと過ごす喜びもつかの間、奇妙な生き物が突然現れ、子どもを連れ去ってしまう。生命の基本的権利についての問いを突き付ける。 「動物園に水族館、それに付随するペットショップなどのビジネスや、身につけるものも、食べるものも…いかに人間が動物から搾取をしているのか。私自身、ビーガンというライフスタイルを取り入れるようになって、それをできるだけ排除して生きてみようとしています。そういったことから、『命の展示』に着想を得て制作した作品です。 ビーガンになる前から、もともとペットショップには反対だったんです。可愛がっている子どもを親から離して売っているわけじゃないですか。 だから、うちでは保護猫2匹をもらって一緒に暮らしていて、この子たちはそういうことのないように育てていけると安心していたんです。ただ、2匹目の猫はシェルターで生まれた親子の1匹をもらっているので、結局同じことをしてしまったのかもと後から気づいて。 記憶はないかもしれないけど、やっぱりお母さん猫にしたらお腹を痛めて産んだ仔猫が急にさらわれてしまったことになるので、私の例もふくめ、人間のエゴだなって。 特に売られている子にはそう思ってしまいますよね。どういう形態であれ、罪の意識を感じるべきだなと。この作品を見て、そういった搾取に対して少しでも疑問をもってもらえたらうれしいです」 ――私生活では、10年前にチベットにルーツをお持ちの方とご結婚されて 「はい。チベット系スイス人です。出会った時は、ニューヨークで『The Last Magazine(ザ・ラスト・マガジン)』というカルチャーファッション誌を作っていたんですが、チベットの文化を政治的な角度じゃなく世界に伝えたいということで、民族的なパターンなどを取り入れたモダンなアウターウェアブランド「ABODE OF SNOW(アボード・オブ・スノウ)」のクリエイティブディレクターをやっています。 私がビーガンになった時、環境問題についても気になりはじめていて。ちょうどその頃、そういった新しいブランドを立ち上げたいという話になったんですね。 これだけ物が溢れている世界で作るんだったら、環境・動物への負荷がないものということで、使う素材にもこだわるなど、ちょっと口を出しながら一緒にやっています」 ――海外に比べると日本ではまだ有名人が環境問題や政治に関して声をあげにくいようなところがあるのでは? 「でも、だいぶ変わってきたんじゃないかなと思います。アメリカにいた時は、自分の意見がなかったり、政治の話ができない人は、大人としてかっこよくないと思われるような環境だったので、それができる人でありたいという理想があって。 自分の職業的な忖度みたいなのをあまり考えられてないというか、言いたいことを言っちゃうんですけど。日本でも、だんだんそういうのもいいんじゃないのかな…という風潮になってきている気がします」 ――モデル、俳優、監督と幅広く活動されていらっしゃいますが、ご自身の中で今後のバランスはどのように? 「できる限り全部全力でやりたいです。モデル業も変わらず好きなんですが、映画が特別好きな理由は、短時間で終わってしまう個人プレーではなく、長い間チームと一緒に汗水流しながら作り上げる、例えるなら部活のような喜びがあるからだと思っているんです。いい歳していまだに青春っぽいことが好きなんですね(笑)」 監督第3作「My Sweet Pala」は、チベット移民の父親と彼の若い娘が日常的な些細な偏見や差別、誤解が深刻な結果を招く可能性を描いたもので、現在編集中だという。完成が待ち遠しい。(津島令子) スタイリスト:Eriko Iida(CORAZON) 衣装協力:ピアス、ネックレス、リング/CASUCA(カスカ)
テレビ朝日