岡本多緒 トップモデルからハリウッドで俳優デビュー、初めて監督に挑戦した短編映画が劇場公開!
■約10年ぶりに拠点をアメリカから日本に
ハリウッド映画「ウルヴァリン:SAMURAI」や「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」(ザック・スナイダー監督)、「ハンニバル」などアメリカのドラマにも出演し、海外を拠点に国内外でさまざまな仕事を展開してきた多緒さんだが、2023年、拠点を日本に移し、「岡本多緒」として活動をスタートする。 「10年ぐらいハリウッドをベースにして俳優活動をしていたんですが、パンデミックもあっていろんなことを回顧することになりました。自分がアメリカでやっていく意味みたいなことをちょっと考え直すきっかけが結構あって。 特に、コロナの時にアメリカでアジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が横行していて。そういった感情や行動に繋がってしまうアジア人へのイメージはどこから来ているんだろうかと考えてみると、映画やドラマなどがすごく大きな責任を持っていると思うようになったんです。 今まで自分が演じてきた日本人女性だったりアジア人女性の役というのが、おとなしかったり従順なキャラクター設定であることも多かったですし、これは私たち自身にも置き換えられることですが、実生活で自分とは違う人種の人や他国籍の人が身近にいない場合、メディアや映画の中での描写って、その人たちのイメージに直結してしまうことってあると思うんですよね。特に同じ性質の描写を繰り返し見る事で、無意識的に自分の知識として処理してしまったり。 これはまた別の話なんですが、インターネットの検索エンジンで、『アジア』と入れてみると、子どもがポルノなどにアクセスできないように設定されているNGワードに『アジアン』というワードが入っていたんですね。 『アジア=いやらしい』とか『アジア人女性=従順で扱いやすい』というイメージがすでにそこまで染み付いているという事実にその時すごくショックを受けたんです。 それで、今後ハリウッドで多くの人々が思い描くアジア人女性みたいな役を演じ続けることで、そのステレオタイプを助長してしまうことになるんではないかと思い悩んでしまって。 私はそんなことは絶対にしたくはない。俳優として演じ続けることは目標だけど、自分のやりたいことや夢が、誰かが傷つけられたり殺されたりするような未来に繋がるんだとしたら、もうやりたくないなと。それで、アメリカから1回引き上げようと思ったんです。母国語でお芝居ができるようにもなりたいし、そういった経緯もありながら帰国しました」