M-1は「ヤケクソ」で挑んだ--くすぶる芸人、ウエストランドの逆襲
ただでさえ苦しい生活をしている彼らに、新型コロナが襲いかかった。一時はライブすら行うことができなくなり、活動の拠点を失って窮地に追い込まれた。お笑いファンの間では芸人たちの窮状を心配する声もあがった。だが、井口はそれを笑う。 「(昨年の)緊急事態宣言中が一番元気だったんじゃないですか。テレビも止まっていて、誰も何もやっていないじゃないですか。自分だけが売れてないっていうストレスがなかったので、めちゃくちゃ元気でしたよ」(井口) 「お金はもともとないからね」(河本) 「その上で何とかしてるから。だから、お客さんで心配してくれてる人も多かったけど、この売れてない芸人たちのゴキブリ根性をナメんな、っていうのは発信していました」(井口) 転んでもただでは起きないこの生命力の強さこそが、ウエストランドの最大の武器だろう。そんな彼らは『M-1』の決勝に出て、洗礼を受けたことでまた一皮むけたのかもしれない。 「マヂカルラブリーさんも最下位を経験してから優勝してますし、千鳥さんだって最下位になったことがあるし。こうやって悔しい気持ちを知れたのが一つの収穫だと思うので、出られる限りは出て、優勝しなきゃいけないんだと思っています」(井口) 器用ではない。真面目ではない。若くもない。ないない尽くしのデコボココンビは、今年も持ち前のゴキブリ根性を頼りにお笑い界を這い回っていく。