M-1は「ヤケクソ」で挑んだ--くすぶる芸人、ウエストランドの逆襲
腐ってはいるけど、後ろ向きの腐りではない
ウエストランドは数年前から「ネクストブレーク芸人」と呼ばれていた。2013~14年には『笑っていいとも!』の準レギュラーを務め、『THE MANZAI』では2012年から3年連続で認定漫才師に選ばれた。 しかし、そこで彼らは結果を出すことができなかった。その後は鳴かず飛ばずの苦しい日々が続き、ライブを中心に地道に活動してきた。 「今回の『M-1』の決勝メンバーの中で、一番テレビに出てないのが僕らだったと思います。ちょっと出たことあるほうがしんどいんですよ。ネタ番組のオーディションにはどんどん呼ばれなくなるし、たまに行っても『知ってる、知ってる』って追い返されちゃうので。そんな中で『M-1』だけは面白ければ出られるっていうネタ番組だったのでありがたかったですね」(井口)
バラエティー番組では、実力も経験も段違いの上の世代の芸人と、フレッシュな魅力を放つ「第7世代」と呼ばれる下の世代の芸人が活躍している。谷間の世代にあたるウエストランドは苦戦を強いられている。だが、絶望はしていない。 「僕はすぐに愚痴を言うし、腐ってはいるんですけど、後ろ向きの腐りではないんです。お笑いに関しては明るくいたほうがいいし、明るく楽しく面白くやっていれば絶対大丈夫だと思っています」(井口) 昨今のお笑い界では、ネタを真面目に作って、真面目に練習している芸人が称賛され、ファンからも愛される傾向にある。だが、井口はそこにも異を唱える。 「ネタをちゃんと作る人がみんな好きじゃないですか。だから、僕がネタは直前に作ってるって言うと『ふざけんな』ってたたかれる。でも、言い訳じゃないですけど、その間にいろいろな人としゃべって、人として面白くなることも大事だと思うんですよね。僕らはネタもうまくできないし、何かを演じたりもできないので、人として面白くなるしかないんです」(井口) 「そういう人は応援されないですけどね」(河本)