M-1は「ヤケクソ」で挑んだ--くすぶる芸人、ウエストランドの逆襲
やっている途中で『これはダメだな』と思っていた
『M-1』の準決勝では爆笑を巻き起こし、見事に決勝に駒を進めた。しかし、初めての決勝を前にして、彼らに浮かれる様子はなかった。 「嬉しいは嬉しいですけど、ここから大変だぞ、っていう気持ちのほうが大きかったです。今までは『M-1』の決勝にさえ行ければ、っていうのを売れてない言い訳にしていたところがあったんですけど、もう言い訳もできないですからね」(井口) 「僕は立ち位置的に審査員が丸見えになるので、それを想像しただけで胃がギュッとなってました。だから立ち位置変わってくれってお願いしたんですけど、ダメでした」(河本) 「当たり前だろ。急に立ち位置変わったらワケわかんないから」(井口)
決勝当日は、出番順を決める「笑神籤(えみくじ)」のくじ運にも翻弄された。自分たちがいつ呼ばれるのかずっとドキドキしていた中で、最後にようやく引き当てられた。その時点で河本の緊張はピークに達していた。 「タバコもいっぱい吸っていて、のど飴も食べすぎて胃がキリキリしていて満身創痍でした。せり上がって登場するところで意識が飛びそうになりました」(河本) 「でも、直前まで余裕な感じで過ごしてるのが腹立つんですよ。もっと1人で壁に向かって練習とかすればいいのに、練習を見せないやつみたいなスタンスでやってましたから。案の定、めちゃくちゃ噛みましたね」(井口) 河本の緊張が伝わってしまったのか、ネタのウケ具合はいまひとつ。審査員による採点では10組中9位という結果に終わった。 「やっている途中で『これはダメだな』と思っていました。ほかの人がどのくらいウケていたかをちゃんと聞けているわけではないですけど、それでも結構厳しいかなという感じでした」(井口) 「そこまでの流れもあるし、雰囲気にのまれちゃったんですかね。でも、まだ12年目ですから」(河本)
「いや、もう十分やってるだろ」(井口) 今までは、決勝に行ったことのある芸人が敗れて落ち込んでいるのを見て「決勝に行けたんだからいいじゃん」と思っていた。だが、いざ自分たちがその立場になってみると、とてもじゃないがそんなに軽く考えることはできなかった。 「決勝で負けるとこんなに嫌なんだ、って思いました。変な話、予選で落ちるよりももっと嫌ですね」(井口) 「ちゃんとできなかったのも悔しいし、負けたのも悔しい。僕でさえそう思いました」(河本) 「これをどこまで覚えていてくれるかですよね。昨日の今日だからこう言っているだけで、こいつはすぐ忘れる可能性あります」(井口)