インフルエンサーの取り込み狙うOpenAI、「クリエイター責任者」を募集中
OpenAIは、ChatGPTの基盤となる人工知能(AI)モデルを訓練するためにYouTubeのデータを無断で利用したとして、一部のコンテンツクリエイターから反発を受けたが、同社はその一方でクリエイターたちと前向きな関係を築こうとしている。 2022年、ドン・アレン・スティーブンソンは、インスタグラムの10万人のフォロワーに向けたライブ配信で、OpenAIの画像生成モデルのDall-E(ダリ)が鮮やかで生き生きとしたアート作品を生み出す様子を紹介していた。すると、その配信の途中で突然、OpenAIの担当者がコメント欄に飛び込んできたことに彼は驚かされた。同社は、その場で彼の視聴者のためにこのツールへの即時アクセスを提供したのだった。 「間もなく、数千人の人々がDall-E 2へのアクセスを求めた。これがこのツールの最初のアーティスト集団になった」と、スティーブンソンは8月のフォーブスのインタビューで語った。 それから2年が経った今、OpenAIはインフルエンサーとの関係構築に特化したチームを社内で編成している模様だ。フォーブスが確認した求人情報によると、同社はインフルエンサーとの関係を構築する役割を担う「インターネットクリエイター責任者」を募集しており、その役割を「AIツールを創作プロセスやビジネスで使用するクリエイターとの間に信頼関係を築くこと」としている。 また、ニュースサイトQuartzによれば同社は、クリエイターとライティングコミュニティの専門家たちをアンバサダーとして雇用した。そのうちの一人は現在、動画生成ツールSoraの「アーティストマネージャー」を務めていることがリンクトインのプロフィールで確認できた。 しかし、その一方で、OpenAIがChatGPTの基盤となるモデルを訓練するためにYouTube動画の文字起こしを使用したという報道に、怒りを感じるクリエイターからの声も寄せられている。ニューヨーク・タイムズ紙は、OpenAIが100万時間以上のYouTubeのコンテンツをGPT-4の訓練に使用したと報じた。この報道を受けて、8月にはマサチューセッツ州のクリエイターのデイビッド・ミレットが、OpenAIを訴えたが、同社はこの訴えの却下を求めている。 YouTubeのCEOニール・モーハンは、OpenAIがユーザーのコンテンツを無断で利用した場合、それはプラットフォームの規則に対する「明確な違反」となると述べている。 同社はまた、書籍の著者やニュースサイトといった別のタイプのクリエイターからも訴えを起こされている。これらの訴訟は、著作権絡みのものだが、OpenAIは、公開されているデータの使用はフェアユースに該当するという主張を行い、これらの訴訟も却下を求めている。これらの件について、OpenAIはコメント要請に応じなかった。