世銀、今年の世界経済予測を上方修正-米景気に「想定外の強さ」
(ブルームバーグ): 世界銀行は今年の世界経済成長の予想を引き上げた。米国の力強い景気拡大が原動力になるとみている。一方で、気候変動や戦争、高水準の債務が、世界人口の大半が暮らす貧困国に打撃となると警告した。
世銀は11日に公表した世界経済見通しで、2024年の世界全体の成長率予想を2.6%とし、1月時点の2.4%から引き上げた。25年については2.7%で、前回から据え置いた。
上方修正分の大半は、米国の成長率予想を従来の1.6%から2.5%に引き上げたことからきている。これに対し、サハラ砂漠以南のサブサハラや中東、北アフリカの成長率予測は下方修正した。
日本については今年0.7%、来年は1%との見通しを示した。
世銀のチーフエコノミスト、インダーミット・ギル氏は「良いニュースは世界経済が安定しつつあり、1月にわれわれが予想していたより速いペースでそれが進展していることだ。その大部分は、米経済の想定外の強さからきている」と指摘。ただ、成長軌道はコロナ禍前より低い上に、「経済規模が非常に小さい最貧国は、安定性の面でも成長の面でも良い状態には見えない」と述べた。
世界のインフレ率については、今年が3.5%、来年が2.9%へとそれぞれ低下すると予想。ただ、鈍化ペースは1月時点の想定より緩慢で、多くの国・地域の中央銀行が利下げに慎重な姿勢を維持する可能性が高いことを意味する。
原題:World Bank Raises Global Growth Forecast on Strong US Expansion(抜粋)
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Eric Martin