「130万円の壁がなくなるって本当ですか?」妻が育児休業明けに仕事復帰するので「手取り」が減るのではないかと心配しています。
扶養から外れたとしてもメリットはある
「扶養から外れることを避けたい」と思う人も多いのかもしれませんが、扶養から外れることは悪いことではなく、長い目で見ればメリットになることもあります。 社会保険料は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などのことを指します。これらの保険のなかで、扶養であるか否かで大きな違いが出てくるのが、厚生年金保険なのではないでしょうか。 配偶者が厚生年金保険の扶養に入っていれば「第3号被保険者」となり、将来はこの期間に対する老齢厚生年金は支給されませんが、保険料の負担なく老齢基礎年金を受け取ることができます。しかし扶養から外れて自身で社会保険に加入すれば、老齢基礎年金に加え、収入に応じて老齢厚生年金を受給することができるようになります。 「人生100年時代」といわれるようになった今、令和5年の簡易生命表を見ると、65歳の男性の平均余命は19.52歳、女性は24.38歳となっています。現在65歳の人々の寿命は男性が85歳くらい、女性が90歳くらいと長寿化していることから、65歳以降の年金も考えておく必要があるのかもしれません。 配偶者が扶養範囲内で働いていた場合よりも、配偶者が自分で社会保険に加入していた場合のほうが配偶者の年金額は増えることになり、夫婦2人の年金総額が多くなります。
まとめ
配偶者のいる人で、年収が130万円(月額10万8000円)以上であれば、配偶者の社会保険上の扶養に入ることはできません。 ただ現在、従業員101人以上の企業でパートやアルバイトとして勤めていて、年間106万円(月額8万8000円)以上の収入がある場合には、自身で社会保険に加入する必要があります。この要件は2024年10月から、従業員51人以上と条件が変更になります。 今回の相談のように、育児休業から職場復帰する時期が2024年10月以降で、従業員が100人以下であっても、51人以上であれば、復帰後に扶養から外れ、社会保険に自身で加入する必要があります。手取り額に注目すると、社会保険料や税金が控除されるため、実際に手元に残る金額は少なくなることに注意が必要です。 出典 厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 執筆者:吉野裕一 夢実現プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部