インテル、ゲルシンガーCEOが退社-再建計画の途上
(ブルームバーグ): 米半導体メーカーのインテルは、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)の12月1日付での退社を発表した。取締役も退任した。同社が再建計画を実行しようとしている中でのCEO退任となる。
2日の同社発表文によると、取締役会はゲルシンガー氏(63)の後任探しを開始。デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)とインテル・プロダクツのミシェル・ジョンストン・ホルトハウスCEOが暫定共同CEOに就任する。
かつて半導体業界の盟主だったインテルは苦境に陥っており、現在は再建計画に必要な資金の確保に取り組んでいる。同計画についてゲルシンガー氏は、企業史上「最も大胆な再建計画」と呼んでいた。半導体業界が人工知能(AI)分野にシフトする中、インテルは投資家の支持を失った。各社はAI用アクセラレーター・チップを中心に構築されたコンピューターに投資しているが、この分野でインテル製品の存在感は薄い。
インテル初の最高技術責任者(CTO)だったゲルシンガー氏は2009年に退社後、再建計画を率いるため2021年にCEOとして同社に復帰。台湾積体電路製造(TSMC)のようなライバル企業に奪われた技術的優位性を回復させることを目指した。
しかしゲルシンガー氏はさらに踏み込み、インテルを半導体の受託生産メーカーに変えようとした。またインテル再生戦略の一環として同氏は、コスト負担の大きい生産網拡大の計画も打ち出した。これにはオハイオ州に建設を予定する半導体製造拠点のプロジェクトも含まれる。
同氏は、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)がデータセンター向け半導体の分野で圧倒的強さを示したことで意表を突かれた。インテルは独自のAIアクセラレーター「ガウディ」を持っているが、なおエヌビディアには後れを取っている。
インテルの暫定執行会長に就くフランク・イヤリー氏は発表文で「当社にはまだやるべきことが多くあると認識しており、投資家の信頼回復に向けて全力を尽くしている」と説明。「取締役会として、まず何よりも製品グループを全ての活動の中心に置かなければならないと承知している。顧客がこれを望んでおり、我々は顧客のためにそれを実行する」とした。