通算ゴール1位となった大久保は、なぜゴールを量産できるのか?
敵地カシマスタジアムの室内練習場におけるウォーミングアップ中に、大久保が突然コンクリートの壁に背中をぶつけ始めた。大きな激突音を何度も室内に響かせる光景に、風間監督以下の首脳陣も「何をやっているのか」と思わず目を疑ったという。 おそらくはハリルジャパンの昌子源、U‐23日本代表の植田直通がコンビを組むセンターバックと対峙するために、「どんな強い当たりにも負けない」と言い聞かせる大久保流の儀式だったのだろう。果たして、鹿島戦の後半開始早々に大久保は決勝点を決めている。 打撲傷を負いかねない行為は、ベテランの域に達してもなお心技体の「体」が良好な証でもある。 「まだまだ上手くなりたいし、点を取りたいと思える。それがなくなれば、ちょっと難しくなるかな」 4年連続の得点王へ。目の前には誰もいなくなった通算ゴール争いのはるか先を見つめながら、大久保はストライカーの本能をさらに全開にして突っ走る。 (文責・藤江直人/スポーツライター)